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クドカンの大河ドラマ『いだてん』はマラソン感覚で楽しむべき 視聴率を求めるのはナンセンス

 脚本・宮藤官九郎、主演・中村勘九郎、阿部サダヲで、世界的かつ国民的なスポーツの祭典「オリンピック」に“かける”人々の姿を描いたNHK大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺〜』(日曜20:00~ NHK総合)。


 先日、大河ドラマ史上最速で視聴率ひと桁を記録したことがネットニュースになったが、改めてその魅力について分析してみたい。

キャストがいちいち豪華! 主役クラスの俳優がゴロゴロ


いだてん キャスト

NHK大河ドラマ『~東京オリムピック噺~』公式サイト

 まずなにより、キャストがいちいち豪華。主演は前述の通り、日本人初のマラソン選手・金栗四三を演じる中村勘九郎と、日本にオリンピックを招致した男・田畑政治を演じる阿部サダヲ。

 彼らに加え、ドラマの狂言回しと言える五代目古今亭志ん生役のビートたけし、柔道の父と呼ばれた嘉納治五郎役の役所広司、そして竹野内豊、松坂桃李、森山未來、生田斗真、神木隆之介、小泉今日子、大竹しのぶ、さらには’13年の大河ドラマ『八重の桜』で主演を務めた綾瀬はるかなど、それぞれ単独で主役を張れる俳優たちがこれでもかと惜しげもなく登場する。

 さらに松尾スズキ、荒川良々、星野源、ピエール瀧など、“クドカン・スターシステム”とも言うべき個性的なキャストたちも入り乱れ、かつてないほど分厚い群像劇が繰り広げられていく。二度と見れないであろうこの豪華競演を手放しで楽しまない手はない。

2人の主人公を中心に絶妙に交差する時間軸


 ストーリーに関して言えば「明治」と「昭和」という二つの激動の時代を描くスケール感が一番の醍醐味だろう。日本と日本人の歩みを振り返るという意味では、むしろ時代劇よりもふさわしい。今よりモノは乏しかったが、ココロは豊かだったあの頃。明日を信じ懸命に生きた人たちの姿や表情からは、窮屈な現代に生きる我々へのエールが聞こえてくるようだ。

 演出面では、頻繁に交差する時間軸に戸惑う視聴者もいるようだが、今から18年前、織田裕二主演のドラマ『ロケット・ボーイ』の脚本を書いていた頃の宮藤氏に、SPA!「エッジな人々」でインタビューした際、話題がコロコロ変わるのりお・よしおの漫才が好きだったと語っていた。『いだてん』でシーンがテンポ良く転換するのもその影響だと思えば何ら問題はない。

 大上段に構えず、シニカルな視点を常に持ちながらも、根底には生きることの素晴らしさや人間讃歌が描かれているのがクドカンドラマ。目の前の光景に脊髄反射するのではなく、じっくり腰を据えて鑑賞してこそ味がでてくるのだ。

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クドカンドラマに視聴率を求めるのはナンセンス

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