更新日:2023年03月12日 08:51
仕事

42歳で発達障害と診断された女性。「ほっとした」後にやってきた苦悩

7年間の結婚生活も喧嘩がうまくできなかった

 元夫との結婚生活は7年間続いた。小野さんは、夫婦喧嘩がうまくできなかった。「それはひどい」「直してほしい」と、言いたいことを素直に伝えることができなかった。夫婦になってもなお、どこか自分を閉じているところがあり、自分を開け渡す面積が人より狭かった。今戻りたいかと問われれば「申し訳ないけど戻りたいとは思わない」という。結婚に向いてなかったのかもしれない、と小野さんは振り返る。  現在、小野さんは糖尿病を患っている。自分としては、発達特性と強く関係していると振り返っている。栄養を考えることや料理の段取りを決めるのが以前から苦手だったため、必死で作ってはいたものの、バランスや量の加減がめちゃくちゃだった。  小説で、登場人物がレシピをイメージしながらスーパーで買い物しているシーンを読んだとき、「“ふつう”の人はそんなことを考えているのか」とショックを受けた。ごぼうがあったら「ごぼうだな」と思うだけで、それ以上のことは考えずに買い物をしていた自分に気付いてしまった。  衝動性により、菓子パンなどを我慢できずにどんどん食べてしまっていたこともあった。ビスケットをつい、バリバリと食べてしまう。セールには飛びついてしまい、つい買ってしまう。さまざまなものが連鎖し、小野さんの今がある。  ただ、糖尿病の治療がうまくいっていることは救いのひとつだ。ヘルパーなどの支援体制を構築できたことが大きかった。ASD(自閉スペクトラム症※)の特性であるこだわりの強さで、食事について決めたルールをとにかく守れたことも奏功した。体重は14kg落とした。

糖尿病を患う小野さんの食生活は大幅に改善。ASDのこだわりの強さが食事ルールの徹底に好作用したという

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就労が「怖い」
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発達障害グレーゾーン

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