仕事

42歳で発達障害と診断された女性。「ほっとした」後にやってきた苦悩

就労は、率直に言えば「怖い」

 ただ、診断から6年経った今でもまだまだ心が揺れている。「“ふつう”の人だったらこういうときはどうするのだろう」と考えることをやめられない。うまくいかないものごとの原因のひとつに、本当は「障害」という答えがあったのに、どこからも教えてもらうことができなかったという。「知らなかった私はバカみたい」と感じてしまう。戻れない過去を振り返るたび、悔しさがこみ上げてくるそうだ。  今は仕事をしていない。就労について率直に言えば「怖い」という。たびたび挫折してきた経験から、あと一回傷つけられたらもう立ち直れないと確信してしまっている。  娘たちの世代に対しては、何を伝えていけるのだろうか。 「悩みましたが、ありのままの私の背中をみてもらうのが一番かなと思いました。たとえ、それが希望ばかりでなくても。そこから気付いたことを生かして、どうか同じ轍(てつ)を踏まずに歩いてほしいです」 <取材・文・撮影/えんどうこうた(@kotart90)> ※ASD(自閉症スペクトラム障害)……相手の目を見て話せない、冗談や比喩が通じないなど、コミュニケーションにおいて困難が生じる。また、特定分野に並々ならぬこだわりを持っている場合もある ― 発達障害グレーゾーン ―
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発達障害グレーゾーン

徹底した当事者取材! 発達障害の認知が広まるなかで増える「グレーゾーン」に迫る

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