エンタメ

キンコン西野の新作はAmazon総合1位。作家でも大成した芸人たち

板倉俊之:シュールコントの天才が生み出した、近未来ハードボイルド小説!

 最後に紹介するのは、丁寧に練られた演出と奇怪なキャラクターが生み出すシュールなボケ、キレのあるツッコミが人気のお笑いコンビ「インパルス」の板倉。普段からエアガンを収集してサバゲーを楽しんだり、大のガンダム好きでゲーセンにも繰り出したりするという板倉だが、彼のデビュー小説『トリガー』は、そんなサブカル趣味が炸裂した近未来ハードボイルドガンアクション大作だ。
トリガー

本作の漫画版は累計50万部を売り上げたという(リトルモア刊『トリガー』表紙)

 舞台は2028年の日本。怠慢がはびこる国会議員に嫌気がさした日本国民が蜂起。国王・板本を擁立して国王制を導入するが、権力に溺れた板本は私欲で国を崩壊させてしまう。そんななか軍人・冴木が反乱を起こし、板本を打倒し二代目の王に就く。そして冴木は日本から犯罪をなくすため、新たな法律「射殺許可法」と、その執行官“トリガー”の導入を決意する……というストーリー。  己の中の男子中学生イズムを炸裂させた本作は、テレビ番組『王様のブランチ』(TBS系)の書評コーナーで紹介されたことで人気に火が点き、漫画化も果たした。特に作中の詳細な設定や描写など、板倉のオタクっぷりが醸し出される表現の数々が痛快なのだ。次作以降はギャンブラーものやミステリーものにも挑戦しており、作家芸人のなかでは異色のエンタメ作風が人気を博している。  いつもテレビで笑わせてくれる芸人たちだが、己の脳内を活字に投影した作品は実に独創的だ。小説は作者の経験や趣味が存分に出るものだが、破天荒な芸能界を生きる彼らの小説は、それゆえひと味違ったおもしろさがあるのかもしれない。芸人本と毛嫌いせず、今回紹介した作品を一度手にしてみてはいかがだろうか。<文/A4studio>
1
2
3
おすすめ記事