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ゴーン氏4度目の逮捕は“口封じ”か?「人質司法」と批判される理由

「私がお伝えしたい3点目は、今起きていることが『陰謀』だということです」  4月9日、日産自動車前会長のカルロス・ゴーン氏の動画が公開された。その7分間の動画で語られたのは、自身の無実と日本と日産に対する愛着、そして陰謀論だった。が、陰謀の詳細と裏付けには言及せず。裁判前に手の内を明かせないのは当然だとしても、肩透かしを食らったと感じた人も多いだろう。  この動画公開の前段となったのは4月4日の4度目の逮捕劇だ。ゴーン氏がツイッターを開設し「何が起きているのか真実をお話しする準備をしています。4月11日木曜日に記者会見をします。」とつぶやいた翌日のことだった。

4度目の逮捕“オマーンルート”とは何か?

 振り返れば、1、2度目の逮捕容疑は計90億円にも及ぶ報酬の受領を先送りして有価証券報告書を偽ったとする金融商品取引法違反(虚偽記載)だった。3度目が日産子会社・中東日産を通じて12億8000万円を不正支出させるなどした会社法違反(特別背任)。  その後、保釈を経ての今回の逮捕容疑はまたもや特別背任だった。3度目が“サウジルート”の不正支出ならば、4度目は“オマーンルート”。’12年以降、中東日産を通じてオマーンの販売代理店に計35億円を販売奨励金として支払っていたが、そのうち5億6000万円はゴーン氏が事実上管理するレバノンの投資会社に還流していたと見られている。全国紙社会部記者が話す。 「サウジルートでは、ゴーン氏個人がデリバティブ取引で被った損失を移し替える際にサウジの実業家の信用保証を取り付け、その見返りとして日産から約13億円が支払われた疑いがかけられています。  ただ、資金が還流する流れは摑めず、特別背任で有罪に持ち込むには不安材料がありました。一方でオマーンルートは、友人がオーナーを務める販売代理店に流れた販売奨励金の一部が、ゴーン氏が事実上保有するレバノンの投資会社『グッド・フェイス・インベストメンツ』に流れ、さらに妻が代表を務める会社『ビューティー・ヨット』や長男が経営する投資会社『ショウグン・インベストメンツ』にも流れていたことを検察は突き止めた。私的流用は明白であるため、逮捕に踏み切ったようです」 ゴーン氏の不正支出疑惑の構図 中東に流れた資金は、ゴーン氏が自由に采配できる「CEOリザーブ」と呼ばれる日産の機密費。ゴーン氏は正当な販売奨励金と主張しているが、「日産側はCEOリザーブを用いるまでもなく、販売奨励金は支払っていたと主張している」(全国紙記者)。外堀は着実に埋められていると見ていいだろう。
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「保釈後の再逮捕」という異例の措置
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