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庶民はタワマンを買ってはいけない!管理費をめぐる住人格差は深刻

修繕積立費アップに耐えられない中下層階

 付帯施設の件はさておき、区分所有者が必ず直面する長期修繕計画に関しても、同様の問題が当てはまる。  時間が経ち建物に劣化が見られた場合、将来に対する展望が全く異なる両者はどうするだろうか。「不動産を何度も所有(売買)したことがある」富裕層たちはさほど気に止めないだろう。いちいち反対することはせず、必要ならば修繕してくれて結構、積立費も管理費も上げればいい。そもそもそんなに長く所有するつもりもないからだ。他にいい物件があれば買い換えるし、節税目的であれば賃貸に出して別宅や別荘へ移り住む。  物件自体も高層階は流動性が高く手離れがよいので、資金に縛られない富裕層はなおのこと身軽なのだ。  一方、「一生に一度の買い物」をした中所得者からすれば、建物に劣化があれば、当然、それを修理しようとする。理事会がどれほど誠実に運営してきていたとしても、新築当初に販売会社が見積もった“甘い”修繕計画では到底やっていけるはずもなく、修繕費の不足に気付いてしまう。  対策として渋々「修繕積立費アップ」という議題を挙げるのだが、これがまたまとまらない。払えない層が存在し、彼らも平等に発言権を持っているからだ。  限度額いっぱいまで借り入れして購入した人にとって、修繕積立費や管理費が上がることなんてあってはならない事態であるし、むしろ「あれは要らないこれも要らない」とサービスを削除して管理費を下げていきたい力が働く。 タワマン

タワマン“スラム化”の始まり

 修繕積立費や管理費を抑制する動き自体は好ましいのだが、それは、不動産の全体的な資産価値にまで目が行き届いている場合に限られるだろう。残念ながら、彼らにその視点は欠けていることが多く、見つめるのは毎月引き落とされた通帳の記録だけなのだ。  修繕計画は、失敗すれば、目に見える不具合箇所の応急処置に留まる。その後の理事会では、いっそう金銭的に厳しくなった中所得者たちが結論を出せないまま、老朽化が進むだけだろう。まさにタワマン“スラム化”の第一歩がこうして生まれるのだ。<TEXT/古川博之進>
タワマンに住む会社員。不動産業、マンション理事長の経験を元に主に不動産業界のテーマを執筆。年100回開催経験から合コンネタも扱うが、保護猫活動家の一面も持ち合わせている。
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