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庶民はタワマンを買ってはいけない!管理費をめぐる住人格差は深刻

「私どもコンシェルジュにて、クリーニングの手配が可能です」

「そんなお金が出せれば苦労しません!」

タワマン

写真はイメージです(以下同じ)

 メインエントランスのホールに響く女性の強い声。実はこれ、都心のお洒落なタワーマンションで見られる光景である。

同じタワマンでも、住人の層が違う現実


 高層物件では、いわゆる物干し用バルコニーを設計していないことがあるし、普通にバルコニーがあっても、安全上や外観上の問題から管理規約によって屋外干しを禁止していることは多々ある。
 
 その場合、配送クリーニング業者との提携サービスが用意してあることがほとんどだ。当然有料だし、集荷にも来てもらう割り増し価格であるがゆえ、冒頭のような怒りの声が返ってくることになるわけだ。だが“コンシェルジュのいるタワーマンションの住人”が、“クリーニングの割増料金を支払えない”というのにはどこか違和感がある。

タワマン その原因は、タワーマンションの階層ごとの販売価格差によるところが大きい。通常、マンションにおける上下階の価格差と言えば50万円ほどだが、タワーとなるとこれが100万円近くになることもあり、階数の多さがますますこの差を押し広げているのだ。

 最上階は億を超えることも多く、下層階と比べると1,000万円単位で差がつくことも常であり、同じ間取りであっても最上階と最下階とでは全く異なる層が購入することとなる。つまり、借り入れをする前提で、しかも限度額目いっぱいのローンを組んで購入した中所得層と、節税や投資・転売・一時使用を目的にポンと買った富裕層とが、同じ建物で暮らすのだ。摩擦が生じないわけが無い。

経済観念の“ズレ”が引き起こす共用設備問題


 いま「共に暮らす」と書いたが、正しくは「共に経営していく」である。そもそもマンションとは、住人(所有者)全員でマンションの健全な経営をしていくことが前提となっている。住人によって会議を開き、掲げられた議題をひとつひとつ解決していく必要があるわけだが、発言権(行使権)を持った参加者たちの経済観念が全く異なっている場合、これがまとまる見込みは極めて薄い。

 購入時に上層階しか選択肢になかった富裕層からすれば、当初より設置されたジムやゲストルームの活用、更にはそれらの充実やアップグレードこそが、快適なマンション生活であり、タワーマンションの資産価値と考えるわけだが、中下層の中堅所得層からすればそうとは限らない。
 彼らは日々従事する仕事があり、パーティールーム等の使用は週末に限定される。それも数百名の入居者で予約の取り合いが必要なため、「無いのは嫌だが、もっと良いものを作る必要性は感じない」という回答さえも出るくらいだ。

 管理費を払っている以上は是が非でも使ってやろうという意気込みはあれど、それこそが中下層の考え方であり、購入前(建設前)からあった設備だというのに、引き渡し早々に不要論が議題に挙がる事も少なくないという。これで見直される(下げられる)管理費がいかほどになるというのか、パーティールームでケータリングを手配する富裕層には理解できない。

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修繕積立費が足りず“スラム化”の始まり

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