首都圏での水害に「強いエリア」と「弱いエリア」。ハザードマップには盲点も
九州では梅雨前線の停滞による異例の豪雨が続き、被害も甚大なものとなっている。このような集中豪雨が起こる根本的な原因はその道の専門家に任せるとして、私たちが住まいを考える際には、どこに注目すればよいか? 不動産のプロとして考えてみたい。
まず、首都圏に於いて「水害地域」と聞いて、何処を思い浮かべるだろうか。
荒川・隅田川の周辺や、武蔵小杉や二子玉川など記憶に新しい多摩川流域が、多くの人の脳裏を過るのではないか。これは「水害」=「河川の氾濫」のイメージが強いことに起因している。そうであれば、河川から物理的に距離が離れた地域、海抜が少しでも高い地域こそが、浸水被害を回避する近道なのは自明である。河川近くの中でも、過去に氾濫した実績があるにもかかわらず、堤防が建設されていない地域や、既に堤防はあるのだが整備が行き届いていない地域は、河川氾濫による浸水被害の可能性は高いと判断して差し支えない。
過去が“記憶”に無いのであれば、役所や図書館にある“記録”をたどってみれば一目瞭然だ。国交省の「ハザードマップ」も随分と浸透してきているので、少なくとも一度は、自分の住んでいる地域・住もうと思っている地域に目を通しておきたい。
不動産業界に於いては、以前より、土砂災害警戒区域等に該当するか否かを、賃貸・売買の区別無く重要事項として説明する義務がある。しかしこれだけでは不足しているという風潮が出てきて、今年1月には、洪水や高潮の水害リスクも説明を義務化する方向に進み始めている。とはいえまだ導入段階なので、当面は前述のハザードマップに頼らざるを得ない。
一方、水害リスクの説明義務化に先駆けて発表された、「区内ほぼ全域が水没する」という江戸川区の水害ハザードマップが、昨年話題にのぼった。そこには「江東5区(江戸川区・墨田区・江東区・足立区・葛飾区)のほとんどが水没」とまで記載されている。あくまでも“最大規模”としての想定であり、各自の防災意識を促すことが目的であることは忘れてはならない。
しかし、本来は人を呼び込む側の区が、率先して注意喚起をしたこの資料、Web上にも公開されているので、是非ともサイトを訪れてご覧頂きたい。それぞれ魅力ある街であり、住まい探しに於いて、頭ごなしにこれらの5区を除外しなくてもよいが、水害に限るならば念頭に置いておく必要はある。単純に河川氾濫を回避したければ、東京圏では荒川より西、更に絞るなら隅田川よりも西を選択するのが吉よいとうことだ。
江東5区はほぼ全域が水没?
タワマンに住む会社員。不動産業、マンション理事長の経験を元に主に不動産業界のテーマを執筆。年100回開催経験から合コンネタも扱うが、保護猫活動家の一面も持ち合わせている。
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