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こんな福山雅治見たことない! 変顔&激走の中年が奇跡を起こすドラマ『集団左遷!!』

「頑張る」ことの何が悪いのか

 元号が平成から令和に変わり、来年には東京五輪が行われる。その一方で経済格差や景気後退がささやかされ、豊かな暮らしなどなかなか実感できない今の日本。  すべてが数字で管理され、効率が優先され、一度失敗すれば立ち直る機会を与えられないムードが蔓延している中、「個人」が「頑張る」ことは、もしかすると時代遅れなのかもしれない。  しかし、あえて問いたい。「頑張る」ことはそんなにいけないことなのだろうか? たとえ出世しなくても、たとえ有名にならなくても、明日を信じて生きる名もなき個人たちの「頑張り」が今の日本社会を支えてきたのではないのだろうか。
 一見、格好悪く見える片岡の汗臭さ&泥臭さは、愚直だが人間味にあふれ、時として見る者の胸を打つ。今の時代、スマートに生きることが格好いいとされるが、彼の「頑張り」はひと回りして価値を持ち、閉塞感あふれるこの時代を切り開くヒントになるのではないだろうか。  その意味で、ますます生きづらくなっていくSPA!世代に刺さりまくりの中年奮闘ドラマである本作。今日も多摩川の土手を必死に走る片岡の背中が語っている。「さぁ、頑張ろうぜ!」と。 <文・中村裕一>
株式会社ラーニャ代表取締役。ドラマや映画の執筆を行うライター。Twitter⇒@Yuichitter
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