重要なのは、過度な競争に歯止めをかけることです。そのためには、家族的な関係を維持し、ハイスペックの人以外にも働く機会を与える企業の役割が重要になります。もちろん企業経営者は慈善事業家ではありません。それであっても、発達障害や軽度のうつを訴える社員を雇用して、利潤を上げることはできると思います。 　多少スペックや生産性が劣っていても、働く能力のある人に働く機会を与えることはとても重要です。あなたのような、悩みながらも人間的な優しさを失わない人がいることが、日本の中小企業の強さです。病気を抱えた社員については、産業医とよく連携して、一人ひとりができる範囲で雇用の機会を保証することが重要になります。 　また、行政とよく相談して、該当する人には障害者手帳を交付してもらうといいと思います。そして、障害者雇用支援制度を最大限に活用すべきと思います。会社の利潤を極大化する努力をしつつ、ヒューマニズムに基づいて従業員に対応するのが優れた中小企業経営者です。現在の経営方針を継続することがとても重要と思います。 ★今週の教訓……過度な競争に歯止めをかけることが重要です’60年生まれ。’85年に同志社大学大学院神学研究科を修了し、外務省入省。在英、在ロ大使館に勤務後、本省国際情報局分析第一課で主任分析官として活躍。’02年に背任容疑で逮捕。『国家の罠』『「ズルさ」のすすめ』『人生の極意』など著書多数