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「痴漢には安全ピン」論争で考える、安全な痴漢対策ガジェットとは

 SNSで「痴漢には安全ピンを刺せ」という投稿が、5月末から大きな話題を呼んでいる。案の定、この投稿は賛否両論の嵐を呼び込んだ。 「痴漢を撃退するにはやむをえない」という賛成の声と、「誤って関係ない人を傷つける恐れがある」「安全ピンを刺すのは過剰防衛」と反対する声——。 痴漢 相手が何者であれ、安全ピンを使えば人の身体を傷つけてしまう。ならば、相手に身体的危害を与えない痴漢撃退グッズを作ればいい。実際に、国内外の各企業が「安全な痴漢撃退グッズ」の開発に力を入れ始めている。

痴漢防止に向けてシヤチハタが製品開発に動く

 5月21日、印章生産で知られるシヤチハタが、Twitterで驚きの投稿を行ったことは記憶に新しい。公開設定で「痴漢に対抗できるハンコ」の開発を明らかにしたのだ。  まさに痴漢の烙印を押す、といったところか。報道によれば、SNSを見た女性社員が動いたのだという。そして、これが大きな反響を呼び、5月27日には「最初にご提案できるのは従来のネーム印とほぼ変わりません。そして今後段階的に形にできればと考えております。とはいえ、目指すべきはこの社会問題が根絶され、“護身用グッズが必要ない世の中”になる事です」と続けた。  最初に発売されるものは従来のネーム印とほぼ同様とのことだが、今後このハンコに使われるインクは付着後すぐに落とせない性質のものと推測できる。  たとえば、コンビニに置いてある強盗撃退用のカラーボール。中身のインクは、身体や衣服に付着したらなかなか落ちないようにできている。それと同じものが使用されるとしたら、確かに痴漢や性犯罪の抑止になるだろう。  また、この製品開発にはもうひとつ大きな意義がある。  公文書、私文書問わず日本でも「ハンコレス化」が進んでいる。それは言い換えれば、紙からデジタルデータへの変換である。エコロジーな取り組みでもあるのだが、それによって実印を押す機会も減っていく。このままでは、ハンコの需要もなくなっていくはずだ。  だからこそ、それまで培ってきた技術を生かしながらも新しい方向性の製品を開発する必要がある。
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位置情報が送信される防犯ブザー
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