更新日:2023年03月28日 09:08
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コンビニ成人誌を中心に466冊が揃ったイベント「エロ本喫茶店」、これはエロ本の葬式か? 

買ってないのに「無くなるのは寂しい……」と皆が言い出すんですよ

――今年の1月にコンビニがアダルト誌の販売中止を発表し、8月末でコンビニから姿を消しますが、一報を聞いたときの感想はどうでした? 安田理央氏(以下、安田) まぁ、そうだよな~、という感想です。「タバコ」に近い感じで、世の中から嫌われているから、反対派の人たちの意見は「ごもっともでございます」「反論できる余地はありません」という状態。だから、ある程度は覚悟していました。 ――なるほど。 安田 僕個人の考えは、「東京オリンピック」はキッカケに過ぎない。これまでは表紙に“シール貼り”したり、成人雑誌棚を設置したり、様々な自主規制をしていて、存続の危機を乗り越えてきました。コンビニ側も「快楽天」などの漫画誌、DVD付きアダルト誌など、売り上げにも貢献していた。でも、徐々にネットやスマホの普及なども影響したのか、売り上げが下がっていた。そこで「東京オリンピック」が決まったこともあり、いいタイミング、と判断したのではないでしょうか。売り上げが立つのならば、コンビニ側ももう少し抵抗したと思います。彼らも本音を言えば、アダルト漫画誌だけは残したい感じじゃないですかね(笑)。売れていたから。 ――いま主流のDVD付きアダルト誌は返本率が80%~90%が当たり前と言われ、それほど売れてない。 安田 そう、コンビニの雑誌棚には、まだDVD付き雑誌が豊富にあります。だからパッと見は“売れているのでは?”と勘違いする。でも返本率8割超えは、もうビジネスとして破綻している。コンビ二から無くなると分かってから、皆が「そういえば最近は買ってなかった」「無くなるのは寂しい……」なんて言いながら、ネットの無料アップロードされたAVとかを観るんですよね(苦笑)。当たり前に、エロ本がなくなれば、次は“AV“がなくなる可能性がある事も理解しなくてはいけない。 ――コンビニ系のアダルト誌で、いちばん思い入れのある雑誌は? 安田 『スコラ』(株式会社スコラ)、『ザ・ベストマガジンspecial』(KKベストセラーズ)かな。両誌で執筆していましたが、特に後者は内容がエグく、女性の大股開きの連発だった。制作費をすごく掛けていて、編集者も妥協がなく、原稿・写真にも注文が多かった。いかに抜かせるか、いかに読み応えのあるものにするか、情熱のこもったエロ本です。“コンビニエロ本の一番盛り上がっていた時期”を体感させてくれました。 ――『スコラ』はどういうところが好きでした? 安田 やっぱりメジャー誌が好きなんですよ。過激を追求する書店誌もいいけど、コンビニ成人誌で過激さの“限界”に挑むが好きだった。10万部を下回ったらバカにされた時代があったんですよ。今、一般週刊誌でも10万部を売るのは難しい時代ですから。今考えたらすごい時代ですよ。 ――コンビニエロ本を発展させたエポックメイキング的な雑誌はありますか? 安田 発展でいうと『Beppin』や『ザ・ベストマガジンspecial』もあるけれど、あとはA5版の小さい雑誌。『投稿写真』(サン出版)や『スーパー写真塾』(コアマガジン)とか。途中でコンビニからなくなったけど、中高生向けエロ本という矛盾した存在は面白かったですね。 ――逆に衰退させたのは? 安田 DVD付きアダルト雑誌ですかね。ほぼAVメーカーから貰った写真で作るため、“カタログ本”なんて言われる種類です。あれが一度売れたから、制作費をかけて作るものではない、という方向にシフトチェンジしてしまった。そして前述したようにネットやスマホの普及で不要になったんですよ。 ――話は変わりますが、この新刊を出版するにあたって苦労したことはあります? 安田 (掲載されているのは)ほぼ、全部、僕が持っている雑誌。これを集めるのがとにかく大変で、古本屋に何年、いや何十年と足を運び、あとはヤフオクで高額出品される商品を落札したり。この新刊、一冊4000円近くするんですが、これ“初刷り”では完全に赤字。エロ本と一緒に、僕も破綻しそうなので、是非買っていただきたいです(苦笑)。

著者の安田氏。4000円という価格の高さに、「辞書的な価値はありますよ」と笑った

=================== あらゆるメディアがインターネットのなかで展開され、誰にも見つからずこっそりとアダルトメディアを楽しめる時代だが、若かりし頃、親や先生に隠れて見たアダルト誌の興奮を超えるものはないだろう。エロ本よ、永遠なれ! (写真・取材/神楽坂文人 twitter:@kagurazakabunji
世界一セクシー女優を取材しているカメラマン、ライター、インタビュアー。元成人誌編集者のため、最後の砦として活躍中。年間イベント取材数300本超え! 年間インタビュー数200本超え! バイクで都内を駆け巡り1日で複数の仕事を受けている。X(旧Twitter):@kagurazakabunji
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日本エロ本全史』 安田理央著

価格:3700円+税
判型:四六判
ページ数:336ページ
ISBNコード:9784778316747
発売日:7月2日

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