更新日:2023年03月28日 10:33
お金

30~40代で貯金0円の人は何%?危うすぎる老後資金

30~40代の23%が「貯金0円」のヤバい現状

 ロスジェネといわれる現役世代を取り巻く給与事情も厳しい。大学、大学院卒の給与額の変化も他の現役世代がプラスになっているところ、ロスジェネ世代は月2万円程度下がっている。政府は「人生再設計第一世代」としてロスジェネ救済策を講じるとは言うものの、その恩恵にあずかれるかどうかは不透明だ。
ロスジェネの月収

表は、大卒・大学院卒の給与額の変化を追った厚労省の「賃金構造基本統計調査」より抜粋。’10年と’15年を比較したもので、月収にどれだけ増減があったかを調べたもの。35~44歳の世代において、大きな給与ダウンがみられる

 貯蓄に関する統計を見ても、「老後2000万円」には程遠い現実がある。SMBCフィナンシャルグループの調査では、貯金ゼロから100万円以下が6割を占めるのが現状。前出の飯田氏も、こうした状況を嘆く。 ======

現在、貯金はいくらある?

(30~40代の1000人が回答) 0円 23.1% 50万円以下 24.6% 50万円超~100万円以下 12.8% 100万円超~200万円以下 7.7% 200万円超~300万円以下 4.9% 300万円超~400万円以下 1.8% 400万円超~500万円以下 7.3% 500万円超~1000万円以下 8.0% 1000万円超 9.8% ※数値はSMBCコンシューマーファイナンスが発表した「30代・40代の金銭感覚についての意識調査2019」より。お小遣いは月平均3.1万円と微増傾向にあるが、貯蓄については過半数が100万円以下という実態が明らかに ====== 「学卒時の景況が生涯所得に大きく影響するのは、国際的にも常識で日本独自のものではありません。ただ、残念ながら断続的に20年もの間、雇用市場が悪化し続けたのは日本だけなのです……」  ロスジェネ世代が特に割を食っているのは明白だ。未曾有の超高齢社会が進む日本で、老後という茨の道にどう対応すべきなのか。橘氏の提案はこうだ。 「とにかく、なるべく長く働ける環境を今から意識すること。年収200万円でも、定年から10年間延長できれば2000万円、20年ならば4000万円の老後資金になる。年金の受給開始年齢を繰り下げれば、受給額は最大42%増えます。私は、“生涯現役こそが最強の人生設計”だと考えます」  また、飯田氏からは「各自、『ねんきん定期便』をちゃんと読んでほしい」という前提のもと、以下のアドバイスをもらった。 「老後いくら必要か? 具体的な数字は私にもわからない。私だって知りたいくらいです。身近に感じられるモデルとして、ご両親のことを考えてみるとよいかもしれません。あとどれくらい生きるのか? そんな両親の年金額はいくらになるのか? これを把握したうえで、“月にいくら必要か”を考えるとイメージしやすいのでは」  遠い先の話と思わず、今から対策を講じないと、老後を乗り切れないことだけは確かなのだ。 【飯田泰之氏】明治大学政治経済学部准教授 ’75年生まれ。東京大学経済学部卒。経済政策、マクロ経済学を専門とするエコノミスト。『経済は損得で理解しろ!』『日本史に学ぶマネーの論理』など著書多数 【橘 玲氏】作家 ’59年生まれ。早稲田大学第一文学部卒。雑誌編集者を経て『マネーロンダリング』でデビュー。著書に『新版お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』など <取材・文/週刊SPA!編集部> ― 老後資金の稼ぎ方 ―
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