更新日:2023年04月13日 01:37
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任天堂の決算から見えた「スイッチできないNintendo Switch Lite」の狙いとは?

 ここまでのデータから言えるのは、Nintendo Switchは発売から3年目に入ってもいまだに成長が続き、“成功ハード”の道を歩んでいるということ。その一方で2011年に発売された3DSは、ハード寿命が尽きつつあります。  この状況を見るに、新型機「NS Lite」は、カンフル剤的なNintendo Switchの廉価版という位置づけではなく、3DSが果たしてきた役割を担うべく投入されたと考えるのがシンプルでしょう。  これまで任天堂は、Nintendo Switchと3DSの住み分けに関して、「(3DSは)初めてゲーム専用機を手にされるお客様のため(のハード)」「Nintendo Switchは、数多くの親御さんにとってお子様全員分を短期間にお買い求めいただける価格ではありません」といったコメントをしています。この3DSの「初めてのゲーム体験の窓口」「家族・兄弟、全員分を揃えやすいハード」の役割を継ぐのが「NS Lite」と言えるでしょう。

「Nintendo Switch Lite」はコントローラが取り外せず、「おすそわけプレイ」などには対応しない

 ただ、「NS Lite」が発売されることで、好調なNintendo Switchの勢いが削がれてしまうのは避けたい、と思うのは任天堂としては当然で、その結果、値段は安く、Nintendo Switchの邪魔をしない、主要コンセプトを犠牲にした「NS Lite」が生まれた……といったところではないでしょうか。  また、『ポケットモンスター』本編シリーズの完全新作が11月にNintendo Switch向けにリリースされるのも、「NS Lite」投入の理由かもしれません。これまで『ポケットモンスター』本編は、携帯ゲーム機で展開されてきました。今回は3DSで発売されないため、ユーザーの負担を少しでも減らして、やや右肩下がりになっている『ポケットモンスター』本編の売上につなげたいという狙いもあると思われます。  現状は、「Nintendo Switchの下位モデル」といったイメージが先行している「NS Lite」ですが、約295gと軽量になり、持ち運びやすくなったメリットを活かして、3DSの「すれちがい通信」のような「NS Lite」が輝く遊びが生まれてくるのを期待します。
ゲーム雑誌・アニメ雑誌の編集を経て独立。ゲーム紹介やコラム、書評を中心にフリーで活動している。雑誌連載をまとめた著作『はじめてのファミコン~なつかしゲーム子ども実験室~』(マイクロマガジン社)はゲーム実況の先駆けという声も
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