仕事

50歳で早期退職した元フジテレビ社員「出世コースから外れた」あとの生き方

みんなの気持ちに余裕を与える潤滑油でありたい

 そして、矢吹氏は社内の潤滑油として信頼され居場所を見いだしていった。 「肩書や昇給など目に見える成功だけが価値ではないと気づきました。会社での肩書は『貸衣装』と遠藤周作さんが言ったそうです。定年したら返さなくてはなりません」  そんなことにも気づき、早期退職を決意。 「今後は文章や料理で、皆の気持ちに余裕を与えていきたいです」  現在の矢吹宅は多くの友人・知人が訪れる憩いの場だ。お手製の料理やデザートを楽しみながら、「貸衣装」を脱いで語らっている。 <矢吹氏のあゆみ> ’65年 東京都生まれ。幼少期をシンガポール・香港で過ごす ’86年 小説『バスケット通りの人たち』で第47回「小説現代新人賞」を史上最年少で受賞 ’88年 慶應義塾大学経済学部を卒業後、フジテレビに入社。 ドキュメンタリー・情報番組セクションでAD・ディレクターとして、『カノッサの屈辱』、『ウゴウゴルーガ』、『ムツゴロウとゆかいな仲間たち』などを担当 ’97年~ ニューヨーク支社へ4年間赴任し、社長室に勤務。帰国後は映画部を経て、ドラマ制作、BSフジ編成、マーケティングなどに携わる ’15年 満50歳を機に、早期退職制度に応募し、退社 ’16年~ 幻冬舎plusにて「美しい暮らし」連載中 <イケオジ3か条> ・休んだり逃げたりすることもときには大事 ・出世コースから外れた自分を肯定してみる ・自分のためだけでなく周りのために生きる 【矢吹 透氏】 文筆業。早期退職を機に、築50年超の下町のマンションをリノベーションして住み始めることに。ビストロのようなキッチンは「Bistro Toh」の愛称で友人・知人に親しまれている <取材・文/週刊SPA!編集部>
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