結局、1.5次会の後に東さん側の親類はほとんど一旦退席になったという。ゲストや新婦の親戚たちは夫婦を気遣ってあまり事を大きくしないようにしてくれた中で、東さんはどうしても自分の父と親戚が許せなかったという。 「大人として、呆れるしかない行為だったと思います。遺産や祖母のこと、それが僕の両親や親戚にとって大事なことだから問題になっているのはわかります。でも、どう考えてもこの場に持ち込むべきではなかった。 　僕は親戚全体のことも考えて、“幸久の結婚式にも呼ばれなかった”と思ってほしくなかったから、みんなをこの場に呼んだのに。もう、遺産なんてどうでもいいので、お願いだからこれ以上、僕たち子世代を巻き込まないで欲しい」 　一般的に結婚式では親類は普通のゲストよりも多くご祝儀を払う。そういうものを持って、甥の門出を祝うべく集まった親類が、血縁関係の中で起きている問題で主役を傷つけてしまった。 　遺産相続で、親族が骨肉の争いになるケースは多い。その争いを結婚式に持ち込まれたほうは、たまったものではないだろう。 　＜取材・文／ミクニシオリ＞1992年生まれ・フリーライター。ファッション誌編集に携ったのち、2017年からライター・編集として独立。週刊誌やWEBメディアに恋愛考察記事を寄稿しながら、一般人取材も多く行うノンフィクションライター。ナイトワークや貧困に関する取材も多く行っている。自身のSNSでは恋愛・性愛に関するカウンセリングも行う。