スポーツ

ラグビーでライバル関係が再燃!? イングランドとアイルランドの歴史的因縁

ジョークを飛ばす大らかさ。気がかりなのはブレグジット

毎度スタジアムを席巻したビッグフラッグの重さは18kg。タイに赴任するアイルランド人が自作、試合ごと来日し、スタジアム持ってきたという“ド根性”

 アイルランド、スコットランド、ウェールズという「隣人サポーター」たちは、ここぞでイギリスとしてイングランドをライバル視するというが、それもジョークにする大らかさがある。 「みんなブリティッシュパブにも集まるし、音楽も地域の区別なく人気。アイルランド人とイギリス人は、至って普通に友人関係を築きますよ。ただ、何か思うところがあったり、嫌なことがあったりすると、アイルランド人が『やっぱりイギリス人だからなぁ』というジョークで反撃しますけど(笑)」  ことあるごとに「だからイギリス人は~●●なんだよ」とイジるのが常套手段という。  日本と韓国も、国民レベルだと特に若い世代などで友人同士も多く、交流もそれなりに盛んだが、こういった“際どいジョーク”を大っぴらに交わす関係には残念ながら至っていない。  そんな大らかなアイルランド人だが、国としては再来年にも周辺で緊迫した関係が戻るかもしれないとローリー・綾子さん夫妻は懸念する。それはイギリスのEU離脱=ブレグジットだ。 「これまではEU(欧州連合)があったから、アイルランドは北も南も自由に行き来できた。けれども、イギリスが離脱すれば、移行期間も来年末まで。その先どうなるか心配です」  ラグビーこそ、アイルランドは一つの国の代表だが、今も北アイルランドはイギリスに所属する別の国。ブレグジットの影響で、今まで一つだった市場のヒト・モノ・カネの行き来に制限がかかるかもしれず、血で血を洗う争いがあった「内戦」、北アイルランド問題が再燃するかもしれない。  アイルランドが一つの島の一つの国になるには、一筋縄ではいかない歴史や宗教の背景がある。それがイギリスとも複雑に絡み合っているのだ。ラグビーのように、ノーサイドと美しく割り切ることができればいいのだが……。 取材・文/松山ようこ
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