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ラグビーでライバル関係が再燃!? イングランドとアイルランドの歴史的因縁

 ラグビーワールドカップ日本大会で、ビール好きがすぎると注目を集めたアイルランドサポーター。陽気で大らかな彼らは、一次リーグで日本に敗戦した直後に日本人サポーターと歌いながら交流したり、決勝トーナメントではニュージーランドが圧勝した時に試合終了間際のダメ押しトライを拍手喝采で称えたりと、その“ノーサイド”精神があちこちで話題になった。  そんな優しいアイルランド人だが、以前の記事のように、「イングランドが相手なら大ごとになっていた」という辛辣な意見をいうこともある。  日本代表の前監督であるHCエディ・ジョーンズ氏が指揮するイングランドを応援する人も少なくないが、準決勝で激突するウェールズとの関係も気になるところ。古今東西、隣接する国や地域にはトラブルが尽きないが、果たしてサポーター同士はどうなのだろう……?

スポーツの祭典でライバル関係が再燃!? 近隣諸国の仲間意識も

 アイルランド人と周辺諸国のコミュニティにいるローリーさんと綾子さんは言う。 「今は平和なので、そういった見方はないと思います。ただ、長年ずっとアイルランドはイギリスに支配されてきたという背景は無視できない。だから、シリアスな敵視まではいかなくても、ラグビーやサッカーの大会でライバル視する対象になることもあります。でも、あくまでライトな感じですよ」  イギリスは、正式名称が「グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国」で、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの4つの地域からなる。北アイルランド地方を除いたアイルランドは独立国だが、正式にアイルランド共和国となったのは1949年。それまで何世紀もの間、争いが絶えず、イギリスの支配下にあった。 「あえて関係性を日韓に例えるとすると、イギリスが日本、アイルランドが韓国に似ているかもしれません。だから、今もイギリスは意に介さないようなところも、アイルランドは支配された側なので声をあげることも。ラグビーではアイルランド代表はアイルランド共和国と北アイルランドが一緒のチームですが、その他のスコットランド、ウェールズも“支配された側”なので、ウェールズとイングランドが戦うことになれば、みんなウェールズを応援しますよ!」

日本と同組に入った、アイルランドとスコットランドはプール初戦で相まみえた

 実際、彼らのコミュニティが集まる恵比寿のパブでは、アイルランド対ニュージーランド戦に多くのウェールズサポーターやスコットランドサポーターも集結。世界的人気の強豪オールブラックスではなく、アイルランドに声援を送っていた。
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ジョークを飛ばす大らかさも…
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