体臭改善・におい対策、基本の5選
中年になれば、誰しもにおいの原因はもっている。では、どうしたらいいのか。続いて、におい対策を6つ紹介しよう。
▼有酸素運動をする→汗の質が変わる
サラサラのいい汗をかけば、汗臭を防ぐことができる。そのためには、汗腺を目覚めさせ、きちんと働かせることが大切だ。
効果的なのが、ゆっくりと体温を上げる有酸素運動。習慣化すれば、汗の質が変わっていくのを実感できるはず。また、有酸素運動は抗酸化力をあげるので、ダブルでにおい対策となる。
そのほか、湯船につかる、エアコンで部屋を冷やしすぎないなど、適切に体温が上下する生活を心がけるべし。
▼痩せる→皮脂の過剰分泌を抑える
ミドル脂臭も加齢臭も、においのもとは皮脂。皮脂の過剰な分泌を抑えるためには、血中の中性脂肪を高めないようにすることが大切。具体的には、アルコールを控え、暴飲暴食をやめる。酸化した脂をとりすぎない。スイーツの食べすぎも血液をドロドロにする原因となるので控えよう。
食べすぎ&太りすぎの人は脂肪肝になっているケースが多い。体重が減ると肝臓に貯まっていた脂肪もとれ、肝機能も改善されるのでにおいは一気に改善する。
▼よく噛んで食べる→口臭や便の悪臭を改善
胃や腸の働きが悪くなると、タンパク質が消化しきれず、腸内で腐敗しにおい成分を発生させる。そのにおいは口臭や便のにおいを悪臭化させる。よく噛んで食べることで、胃での消化を助けることができる。
また、よく噛むと唾液腺が刺激され、唾液がたくさん出てくるので口臭予防にも効果的。
▼食べ物に注意→抗酸化物質で加齢臭を改善
皮脂の原料となる血糖値を上げるジュースやスイーツ、炭水化物の取りすぎに注意すること。発酵食品や善玉菌を育てる食物繊維を積極的にとって腸内環境を整えるのが、食事でできるにおい対策の第一歩だ。
さらに、加齢臭対策には抗酸化物質を積極的にとることが重要。これは、におい対策だけでなく老化防止にもなる。
その抗酸化物質をたくさん含むのが、アボカドやナッツ類、ゴマ類に含まれるビタミンE。ビタミンEはビタミンCも一緒に食べると抗酸化力が持続するので、柑橘類やピーマン、ケールなどもあわせて食べるのが効果的。
また、「フィトケミカル」と呼ばれる野菜などに含まれる色や香りの成分も、抗酸化力が高い。その代表選手は以下のとおり。
<フィトケミカル>
・ニンジンに含まれるβカロチンやトマトのリコピンなど、黄、橙、赤色のもととなる「カルテノイド」。
・ホウレンソウ・ブロッコリー・ピーマン・小松菜・水菜・青梗菜・ケールなど、緑の野菜に含まれる「クロロフィル」。
・ブドウやリンゴ、イチゴ、ブルーベリーなどの果物のほか、ナスやシソなど紫色の野菜の「アントシアニン」。
・コーヒーや黒い野菜の「クロロゲン酸」
・大豆に含まれる「イソフラボン」
・ゴマに含まれる「セサミン」
▼いい睡眠でストレスの少ない生活を
加齢臭は、脂の酸化が関連している。ストレスによって酸化が促進されるので、入浴してリラックスをし、しっかり寝ることがにおい対策にもなる。
多忙で不規則な生活が続き、睡眠不足で慢性的に疲れている人は、ほぼまちがいなくにおうはずだ。とくに「朝起きられないけれど、夕方になると元気になる」という人は、ストレスで副腎はクタクタ、自律神経もガタガタ。夜になると元気になるので、うっかり飲みに行ったりするかもしれないが……。そんな日々が続いていたら、「くさい」だけでは済まされない。マジで倒れる秒読み段階だと心得るべし。
ドラッグストアに行けば、たくさんのにおいケア商品で溢れている。闇雲に使っていると逆効果のこともあるのでご注意を。
たとえば、「制汗剤」は、化合物によって毛穴をふさぎ、汗そのものの量を減すことで、常在菌の繁殖を抑えにおいの発生を抑える、というもの。
汗腺を塞ぎ、サラサラ汗がかけなくなると、むしろ、においの原因菌が増えやすいドロドロ汗しかかけなくなる懸念もある。使うときには、
脇の下や足の裏などのポイントだけにし、休みの日は使用控えるなど汗腺に負担をかけないようにしよう。
また、制汗剤には殺菌成分を配合しているものも多い。強い腋臭体質の人には殺菌成分配合は有効だけれど、それほど汗の量が多くない人が殺菌を意識しすぎると、善玉菌を殺してしまうことになる。すると、皮脂のバランスが崩れて、より脂臭くなる可能性もある。
におい成分をイオン分解する
消臭剤を汗や肌着にスプレーしたり、抗菌繊維や消臭効果のある肌着や靴下を使うといったことでも十分ケアできる。常在菌のバランスを保ちながら、ケアをしていくことが大切だ。
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中高年のにおい、年齢のせいと諦めずに、乱れた生活習慣のせいで悪化する「生活習慣臭」と心得てほしい。そして、そのもっとも効果的で抜本的な対策は「規則正しい生活」だ。聞き飽きたフレーズだけど、「健康のため」と言われても心は動かないが、「くさいヤツと思われたくない!」という気持ちはモチベーションになるのでは?
日本人女性、とくに若い女性はにおいに敏感だという調査データもある。くさい男は嫌われる。ほぼ、間違いなく嫌われる。職場で文字どおりの鼻摘まみものになる前に、生活改善しようではないか!
【監修・桐村里紗 先生】
内科医・認定産業医。1980年生まれ。テレビや書籍などで、分子整合栄養医学や生命科学、常在細菌学、意識科学などをもとにしたヘルスケア情報を発信。治療よりも予防重視のアドバイスを行う。著書に『日本人はなぜ臭いと言われるのか 体臭と口臭の科学』(光文社新書)など
<取材・文/鈴木靖子>