障害者がつくるVRアート「仮想空間では自由になれる」と神足裕司さんも夢中
障害者がつくるVRアートをみんなで体験したいーー。
そんな「福祉×VR」の可能性を探るプロジェクトがいま、静かに注目を集めている。
主催するのは、知的障害や発達障害を持つ人や引きこもりの当事者をサポートする社会福祉法人「千楽(ちらく)」。
創作プログラムとしてVRアートを導入している同施設が、利用者が描いたVRアートを鑑賞、体感する展覧会を企画したところ……
世界的VRアーティストで、NFTコンテンツが1,300万円で落札されたことも話題になったせきぐちあいみさんと、高齢期の福祉を拡張するXR(クロスリアリティ)を研究する登嶋健太さん(東京大学先端科学技術研究センター)がスペシャルアドバイザーとして参加。
運営資金80万円をクラウドファンディング「READYFOR」で募ると、わずか2日で目標額を達成したのだ。
現在は、ネクストゴールとして地方での展覧会開催のための支援を募っている(8月20日午後11:00まで)。
「その人らしく生きる、を諦めない」を理念に掲げる千楽では、もともと、絵画や染色といった創作プログラムを積極的に行なっていた。言葉でのコミュニケーションが難しい人でも、創作の過程や行動から、心境の変化や隠された思いを知ることができるからだ。
一方で、VRの活用がはじまったのは2021年。旅行や外出もままならない利用者のために、学生ボランティアが中心になり登嶋さんが提供する「擬似体験旅行(VR旅行)」会を開催したのがきっかけだった。
ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を通じて、さまざまな場所への擬似旅行を楽しんだ利用者は皆、満面の笑顔になる。
VRは好奇心を刺激する。
利用者や家族らとのコミュニケーションをつなぐ。
現実世界では乗り越えることが難しい障害も、バーチャルの世界では簡単に乗り越えられる。
そんな「福祉×VR」の可能性を確信し、VRアートがプログラムとして導入されたのだ。
利用者たちは現在、11月の展覧会に向けて「#わたしの居場所」をテーマに制作を進めている。
VRアートは、HMDを装着し、手にしたコントローラーを筆としてバーチャル空間に立体物を描く。当然ながら、ほとんどの人にとって初めての体験。
利用者もサポートする職員も一緒になって、「あーでもない」「こーでもない」と試行錯誤を繰り返す。しかし、それが楽しい。
今ではVRプログラムを楽しみに通所する利用者もいるという。
「福祉×VR」の可能性
描くテーマは「#わたしの居場所」
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