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静岡市のAI相乗りタクシー、実証実験では不備の多さばかりが目立つ結果に…

「今、どこにいますか?」ができない

 さらにこのAIタクシーの利便性を損ねているのが、タクシー運転手との連絡手段である。  ライドシェアサービスは、そのプラットフォーム上に利用者と運転手が連絡し合える機能を備えている。平たく言えば、LINEのようなチャット機能だ。それで不足が生じる場合は、運転手が利用者に対して(またはその逆も)直接電話をかける。このあたり、宅配便と同じようなものだ。  だが、静岡市のAIタクシーにそのような機能はまったくない。利用者が地図上で指定した乗車地点と実際のそれとではどうしても微妙な差異が出てしまい、運転手が利用者を見つけられないということが少なからずある。その場合の「今、どこにいますか?」という連絡が一切できないのだ。  双方間の細かいコミュニケーションができなければ、そもそもオンライン配車など成立しない。この問題についてもコールセンターに質問した。すると回答は、 「その場合はコールセンターに連絡をしていただければ、こちらから運転手にお伝えします」  ということだった。要は伝言ゲームである。このあたりの不備、というよりも欠陥について、関係者は誰も疑問に思わなかったのだろうか?

不親切な業務用プラットフォームに怒りの声

 現場のタクシー運転手からも不満が噴出している。それは「業務用プラットフォームが見づらい」という問題だ。 「タブレット端末に表示されたAIタクシー用のオンラインプラットフォームですが、我々が普段使っているカーナビより地図が大まかで、現在位置を指す表示のタイムラグもかなり長い。これは本当に見づらいですよ。タブレット自体の能力も、たとえば周囲の明るさに従って光量を自動調節してくれる機能がありません」  プラットフォームのデザイン設計に問題がある、というのは筆者も利用者の立場から感じた。 AIタクシー 水色の円は筆者の現在地、そのすぐ脇の、手を挙げる人のアイコンは乗車地点、そこから下方に位置する車のアイコンは乗車予定車両の現在地。なぜ、「手を挙げる人」と「車」のアイコンを同色にするのかという疑問が筆者にはある。オンライン配車に慣れていない人がこれを見たら、「車のアイコンの位置までこちらが歩かなければならない」と誤解してしまうのではないか?
Grab

こちらの画像は東南アジアで人気のライドシェアサービスGrabのもの

 いずれにせよ、静岡市内のタクシー運転手は相当な苦労を強いられていると筆者は察する。車載のカーナビよりも明らかに性能が劣る7インチタブレットで、洗練されていないデザイン設計のアプリを操作しなければならない。しかもAIタクシーの実証実験に向けた事前研修は、たった1日行われただけだったという。
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タクシー会社の創意工夫
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【参考】 しずおかMaaS
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