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静岡市のAI相乗りタクシー、実証実験では不備の多さばかりが目立つ結果に…

タクシー会社の創意工夫

 このように、静岡市のAI相乗りタクシーはお世辞にも「実用的」と呼べるようなものではない。だが、この実証実験に参画している各タクシー会社の努力、利用者に対するサービスには目を見張るものがあった。とくに、静岡市の特産物をイメージした不二タクシー株式会社の「お茶タク」は見栄えもよく、乗っていて心地がいい。 お茶タク 降車前に、お茶タクの運転手がお土産をくれた。来年のカレンダーと緑茶のティーパック。このような感じの地域物産を取り入れた車内サービスは、市内在住者だけでなく外国人観光客にとっても嬉しいものではないか。  しかし、その点はあくまでも「不二タクシーの努力」であって「しずおかMaaSの努力」ではない。タクシー会社と現場の運転手は120%の工夫を凝らしているが、現状のプラットフォーム設計がその足を引っ張っているのだ。

まずは広報活動を!

 静岡市は『しずおかMaaS』とAI相乗りタクシーの事業化を推し進めている。先述のように、これは田辺市長の公約でもある。  しかし、このプロジェクトを牽引しているはずの静岡市交通政策課は、誰かひとりでも海外でライドシェアサービスを体験したことがあるのだろうか? 「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」という言葉がある。ライドシェアサービスに対抗する気があるのなら、まずはそのライドシェアサービスの利便性を知らなければならない。もし誰かが「敵」について知っていれば、「クレジットカードを変更できない」「利用者と運転手との直接連絡ができない」などという信じ難い欠陥は生じないはずだ。  モニターの数が少ない、というのも非常に大きな問題である。これは相乗りタクシーの実験だから、1台のタクシーへひっきりなしに利用者が乗ってくれなければ実験そのものの意味がない。  11月2日から4日にかけた3連休、静岡市では『大道芸ワールドカップ』が開催されていた。この機会にAI相乗りタクシーはPRを実施することができたはずだ。それをまったくやっていなかった、というわけではないだろうが、せっかくの機会を殆ど活かせなかったと書かざるを得ない。  それを考慮せずとも、静岡市出身の有名人は数多い。この土地を舞台にした国民的アニメも、Jリーグ創設以来の老舗サッカーチームもある。静岡市は強力なタイアップパートナーに恵まれた都市である。田辺市長と静岡市は、これを機にまずはしずおかMaaSの市民への周知及び広報に全力を注いでいただきたい。<取材・文/澤田真一>ノンフィクション作家、Webライター。1984年10月11日生。東南アジア経済情報、最新テクノロジー、ガジェット関連記事を各メディアで執筆。ブログ『たまには澤田もエンターテイナー
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【参考】 しずおかMaaS
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