人はなぜ、ウソだらけの[定説]を信じてしまうのか?

長年、「そういうものだ」と思い込んでいたことが、実はまるっきり違っていたという経験は誰にでもあるだろう。そこで、我々が普段当たり前のように思っていた定説をもう一度、洗い直してみたい 人はなぜ、定説を信じてしまうのか?  新聞社の世論調査からインターネットのアンケートまで、我々の周りでは様々な調査が行われては、その結果が報道され、いつのまにか定説となっていく。『データの罠』の著者である田村秀氏によると「客観性が疑わしい調査も多いので注意が必要」とのこと。 「中には都合のいいデータばかりを使って、特定の結果を導こうとするものもあります。そのような意図がない場合でも、ランキングを出したり格付けをしたりする場合では、調査する側の価値観が結果に反映されやすいんですよ」  例えば、「都道府県ランキング」。 「ある団体の調査では1位だった東京都が、ほかの調査では40位近くまで落ち込むなど、調査団体によって結果に大きな差が見られました。都会的な要素を重視する調査では東京などが上位に入り、雄大な自然やのんびりした居住空間を重視する調査では、富山などの順位が高くなるんです。ほかには、TOEICの平均スコア(アジアの中で24か国中23位・’06年)から、『日本人は英語力が低い』と言われますが、これは、日本人は英語が苦手な人も試験を受けているのに対し、上位国はエリートしか受けていないため。このようにデータの加工方法や収集方法で、結果がガラリと変わるんです。」  しかしそのようなデータの罠を見抜くにはどうすればいいのか? 「数値的なデータが出ているからといって、その調査が客観的、中立的に行われているものだと信じこまないことですね。特にインターネットの調査は、相当な偏りがあることが実証されていますから、それを割り引いて見ることが必要です。もちろんすべての調査が間違いとは言いませんが、ランキングや格付けは”話半分”で聞く程度が安全だと思いますよ」 【田村秀氏】 新潟大法学部助教授。行政学者。社会調査にも造詣が深く、著書に『データの罠―世論はこうしてつくられる』(集英社新書)『自治体格差が国を滅ぼす』(同)などがある 取材・文/田幸和歌子 杉原光徳・宮下浩純(ミドルマン) 古澤誠一郎(Office Ti+) 安田はつね(本誌) ― 日本人の[定説]はウソだらけだった!【9】 ―
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