更新日:2023年05月07日 13:42
ニュース

韓国はGSOMIA終了延長の裏で中国との初期的な軍事支援協力体制を強化していた

韓国が中国との「災害救援協定」を7年ぶりに推進

自衛隊 しかし、まだ安心してはいられません。トランプ大統領はこれまでの在韓米軍駐留費の5倍にあたる47億ドル(約5100億円)を韓国に求めています。韓国はこれを拒否しましたが、応分の負担を求める米国の動きは止まらないでしょう。2016年の大統領選でトランプ大統領は「韓国側が駐留費を全額負担しない場合は米軍を撤収させる」と宣言しているくらいですから。  さる11月21日に韓国国防部は中国との「災害救援協定」を7年ぶりに推進すると発表しました。中韓は北京で「災害救援協定」を念頭に国防戦略対話を行ったようです。これは軍による「災害救援」の協定なので、初期的な軍事支援協力体制を整えるという話となります。 GSOMIA破棄か継続かに揺れるなか、韓国軍は中国に対して軍事的な協調関係を求めていたわけです。朝鮮半島のすべてがレッドチームに取り込まれる危険性は今も続いているのです。

邦人救出のための自衛隊派遣は「相手国」の許可が必要

 朝鮮半島の平和的統一を夢想する人もいるでしょうが、理想は常に実現されるとは限りません。北朝鮮はこのところ、日本と韓国を想定した短距離弾道ミサイルや新型ミサイル「KN23」などの実験を繰り返しています。11月28日にも「超大型多連装ロケット砲」なる新型短距離弾道ミサイルを発射しましたが、平和に統一するお相手がそもそもミサイル発射実験をするでしょうか? 仮に駐留費問題で在韓米軍と韓国が揉めればどうなるでしょうか? 在韓米軍が縮小、または撤退するようなことがあればそれは千載一遇のチャンスです。朝鮮半島有事がさらに現実味を帯びてきた気がします。  朝鮮半島有事の邦人救出は非常な困難を伴います。邦人救出のために自衛隊が艦艇や航空機を派遣するには、相手国の許可が必要です。GSOMIAが継続されても、韓国の反日傾向は変わりません。許可を出さない場合どうするのか。さらに突っ込んだ議論が必要です。  日本国憲法前文の一節に「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」という文言があります。しかし、当然のことながらそれだけでは国は守れません。「信頼しながらもあらゆるリスクを想定する」賢さが必要です。どんな国に対しても「友好を保ちながらもリスクを考慮し、自国の利益を考え、布石を打ち、不安を排除する」賢さがあって初めて、平和は保たれるのです。 「信頼」に依存するだけじゃダメです(それを人は「お花畑」と呼びます)。失ってからでは遅いのです。綺麗事ではなく、例え生臭くても賢くしたたかに。「国破れて山河あり」は現実世界ではなく美しい詩のなかに留めておきたいものです。
おがさわら・りえ◎国防ジャーナリスト、自衛官守る会代表。著書に『自衛隊員は基地のトイレットペーパーを「自腹」で買う』(扶桑社新書)。『月刊Hanada』『正論』『WiLL』『夕刊フジ』等にも寄稿する。雅号・静苑。@riekabot


自衛隊員は基地のトイレットペーパーを「自腹」で買う

日本の安全保障を担う自衛隊員が、理不尽な環境で日々の激務に耐え忍んでいる……

1
2
おすすめ記事
ハッシュタグ