更新日:2019年12月06日 11:13
お金

マイナンバーカードを持てば25%還元でお得? マイナポイントの疑問を総務省に直撃した

情報弱者=経済弱者になる?

 プレミアム付商品券は、住民税非課税者と学齢3歳未満の子供がいる子育て世代にのみ販売されるものだ。対してマイナポイントはマイナンバーカード普及という目的があるから、そうした条件は課されない。つまり所得額や年齢に関係なく、日本国民なら誰しもが還元を得られるというものになるはずだ。  言い換えれば、その還元を得られるかそうでないかは「個人のスキル」に左右されるということだ。  マイナンバーカードをICカードリーダーで読み込み、そこからマイキーIDを作成しなければキャッシュレス決済サービスとの紐付けはできない。「ICカードリーダーがあるかどうか」という以前に、まず「PCがあるかどうか」という話になってしまう。  自宅にPCもなければ、NFC内蔵のスマホ(高級価格帯の機種)も持っていない。そういう人はどうすればいいのかというと、結局は居住する自治体の役所に行かざるを得ない。自力でマイキーIDを作成できない住民を市町村が見放す、などということはまずないだろう。  が、その対応は文字で書くほど簡単なものではない。たとえば筆者の地元である静岡市の場合、毎年の確定申告では駿河区の多目的展示施設『ツインメッセ静岡』の南館を丸々1か月借りてしまう。その間、ツインメッセ静岡では行列が絶えない。  これが職業を問わない、全国民対象の還元事業であれば確定申告など比ではないくらいの「集客数」になるはずだ。2020年9月から2021年3月まで、ツインメッセ静岡を市が独占してしまうのか? という話になる。  マイナンバーカード普及どころか、それにたどり着けない国民が一定数、必ず発生する。しかもプレミアム付商品券や小渕恵三時代の地域振興券とは違って「デジタルスキルのない人に経済的恩恵はない」という仕組みなので、結果として「情報弱者=経済弱者」という構図を生み出してしまう可能性が高い。このあたりが、マイナポイントの抱える大きな課題である。<取材・文/澤田真一>
ノンフィクション作家、Webライター。1984年10月11日生。東南アジア経済情報、最新テクノロジー、ガジェット関連記事を各メディアで執筆。ブログ『たまには澤田もエンターテイナー
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