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「M-1」準決勝は優勝候補が敗退。「大波乱の理由」をユウキロックが徹底解説

来年のブレイクを予感させる新星も登場

 一番頭を悩ませたのは決勝経験コンビたちだ。この中で一番決勝に行きやすい環境だったのが「かまいたち」だ。「常連」「キングオブコント王者」、そして「ラストイヤー」。ここまでの「環境」が揃っている。しっかりとウケてくれれば、問題なく決勝へ行く。そう踏んでいた。そして「かまいたち」はしっかりとウケてくれた。最後の最後に「これ、コンテストでやる?」という部分があり、多少の不安もよぎったが、見事3年連続の決勝進出を決めた。

かまいたち

「見取り図」は決勝経験コンビの中では一番の出来だったと感じた。しかし、ネタの内容に触れられないので説明しづらいが、ある部分が審査員を悩ませることになるのではと想像した。何一つ間違っていないチョイスだったし、俺も腹を抱えて笑った。M-1決勝を全国ネットの「テレビ」と考えたときに「ハマらない」と審査員に思われるのではないかと心配したが、そんなことはなかった。今年も決勝の舞台で「見取り図」の漫才が観られるのは喜びでしかない。

見取り図

 そして、俺がまったく予想できなかったのが「すゑひろがりず」である。日本の伝統芸能を取り入れた漫才コンビであり、ツッコミ担当の南條君は和楽器の鼓を持って漫才をするのだ。楽器持ちの決勝進出は第2回大会の「テツandトモ」以来である。準決勝のネタも「わかりやすいネタ」であり、ほかのコンビと設定もかぶっていたので、審査員を揺さぶることはないかと思ったが、大ハズレだった。

すゑひろがりず

 家に帰り冷静に考えてみたが、「日本の伝統芸能を取り入れた漫才」というある種「奇抜」なスタイルの彼らが、ネタの設定も「奇抜」にすれば、本当にわけがわからないものになるだろう。だから、「わかりやすいネタ」のチョイスは間違いではなかった。そして、全国ネットの「テレビ」で大人から子供まで楽しめる漫才をするのは彼らだと確信した。来年のテレビ界を席巻するのは「すゑひろがりず」かもしれない。  帰宅後、現地観戦メンバーと電話。俺は第一声に聞いた。 「決勝メンバーに納得いってますか?」  彼は答えた。 「いってません」  次回は、敗れたコンビたちについて書きます。 <取材・文/ユウキロック>
1972年、大阪府生まれ。1992年、11期生としてNSC大阪校に入校。主な同期に「中川家」、ケンドーコバヤシ、たむらけんじ、陣内智則らがいる。NSC在学中にケンドーコバヤシと「松口VS小林」を結成。1995年に解散後、大上邦博と「ハリガネロック」を結成、「ABCお笑い新人グランプリ」など賞レースを席巻。その後も「第1回M-1グランプリ」準優勝、「第4回爆笑オンエアバトル チャンピオン大会」優勝などの実績を重ねるが、2014年にコンビを解散。著書『芸人迷子

芸人迷子

島田紳助、松本人志、千原ジュニア、中川家、ケンドーコバヤシ、ブラックマヨネーズ……笑いの傑物たちとの日々の中で出会った「面白さ」と「悲しさ」を綴った入魂の迷走録。

⇒試し読みも出来る! ユウキロック著『芸人迷子』特設サイト(http://www.fusosha.co.jp/special/geininmaigo/)
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