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“開かずの踏切”5ケ所を巡った。遮断機が下りてる時間のほうが長い…

踏切を渡り切れない杖を持った高齢者が…

遮断後のバーの前で右往左往する年配の男性

遮断後のバーの前で右往左往する年配の男性

 この踏切の後に向かった「井頭踏切」(東京都北区/王子駅~東十条駅)では、衝撃の場面に遭遇。杖を持った高齢者が踏切を渡り切る前に警報器が作動。なんとか渡り切ったものの遮断機はすでに下りており、バーを押しのけてそのまま路地の奥へと消えていった。
自動車の通行も可能だが、通る車は少ない井頭踏切

自動車の通行も可能だが、通る車は少ない井頭踏切

 宇都宮線と高崎線、京浜東北線が通り、線路は6本。花月園踏切ほどではないが距離があり、ちょうど夕方に訪れたせいか踏切はほとんど閉まりっ放しだった。一方通行ながら自動車の通行も可能だが、配達で近くに車を停めていた宅配便の運転手は「途中で遮断機が下りたら危ないし、遠回りでも迂回しているよ」と話していた。  歩行者や自転車用には地下道も隣に設置されているが、先程の老人は階段の上り下りが辛くて踏切を通ることを選んだのかもしれない。でも、一歩間違えば大事故につながりかねないし、事実そうした事故も各地で起きている。
山手線唯一の第二中里踏切

山手線唯一の第二中里踏切

 そして、最後は山手線唯一の踏切として有名な「第二中里踏切」(東京都北区/田端駅~駒込駅)。山手線の運転間隔、それも上下線があるので1日を通してみると遮断機が下りている時間のほうが長い踏切だ。  2019年7月には自転車が踏切内で立ち往生し、山手線が全線一時見合わせになるなど事故や故障が起きれば都心の大動脈に与える影響は計り知れない。  ここは跨線橋も地下道もなく、迂回して線路の向こう側に行くには600メートル以上遠回りする必要がある。JR東日本と東京都北区は来年度中に踏切の改良計画をまとめる方針で、近い将来には問題が解消される可能性が高そうだ。  いずれその多くが消える運命にある開かずの踏切。これも時代の流れなのかもしれない。<TEXT/高島昌俊>
フリーライター。鉄道や飛行機をはじめ、旅モノ全般に広く精通。3度の世界一周経験を持ち、これまで訪問した国は50か国以上。現在は東京と北海道で二拠点生活を送る。
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