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女子バスケット選手・吉田亜沙美が引退後半年でコートに戻ってきた理由

<第3回>吉田亜沙美(女子バスケット代表「アカツキファイブ」)

「引退から半年、女子バスケ界のスターが復帰を決意」

 2019年9月2日、一度は2018-19シーズンを最後に引退していた女子バスケットボールの吉田亜沙美(32歳)の現役復帰というニュースは驚きを持って伝えられた。  吉田は言わずと知れた女子バスケ界きってのスター選手。所属のJX-ENEOSサンフラワーズでは前身の日本リーグ時代と合わせ前人未踏のWリーグ11連覇に貢献したほか、長く主将としてバスケットボール女子日本代表「アカツキファイブ」を引っ張ってきた。  バスケ女子日本代表にとって’04年アテネ大会以来の出場となった’16年のリオ五輪でも、司令塔として抜群の存在感を発揮。吉田はベスト8進出の立役者と称賛された。  そんな吉田だからこそ、東京五輪を翌年に控えたなかでの引退、また引退から半年での復帰は周囲をざわつかせた。  ’19年12月某日。吉田はこう胸の内を吐露した。 「6か月休んでいたので、気持ちの面はだいぶリフレッシュできました。1度バスケから離れていろいろな感情があったのは確か。でも、いまは東京五輪に向けて想いが強くなっている。ただ、半年休んでいた分、筋力も体力もまだ全然戻ってきていなくて、そこは課題かなと」  それも当然だろう。今季のWリーグの選手登録の締め切りは’19年8月31日だった。吉田は8月30日にギリギリで登録を済ませ、ほとんど体もできていないまま、ぶっつけで臨んでいる。

辞めていた半年間はボールは一切触れず

「辞めていた半年間は、本当にダラしない生活をしていました。夜寝たいときに寝て、朝は起きたいときに起きる。用事がなかったら1日中家にいるみたいな(笑)。それまで中々、バスケ以外の友達と会うこともできなかったので、友達とご飯に行ったり。ボールには一切触れずに、自分のしたいことだけをしていました」  4年前のリオ五輪を振り返れば、12年ぶりに五輪本大会に出場した日本は、予選リーグでいずれもランキング(当時)で格上のオーストラリア、フランス、ブラジル、ベラルーシ、トルコと同居。苦戦が予想されたなか日本は、世界ランク10位タイのトルコ、7位ブラジル、4位フランスを下し、決勝トーナメント(ベスト8)に進出。準々決勝では絶対王者アメリカに64対110と大差で敗れはしたが、第2クォーター途中には一時2点差まで詰め寄るなど、その健闘ぶりは高く評価された。  日本の平均身長は出場チーム中最低ながら、ポイントガードの吉田の巧みな技術と戦術眼、193cmの渡嘉敷来夢(28歳)の高さとスピードを武器に、日本はようやく世界と伍すところまでたどり着いた、そんな声も多く上がった。 東京五輪に膨らんだ期待。しかし、吉田の心のなかは満足感でいっぱいだった。 「リオの前のシーズンはケガもあって、不安もありました。ただ、大会が始まるとすごく体が動いて、アメリカ戦なんて、バスケットをやっていてこんなに楽しいと思ったことないくらい充実感がありました。前半はよかったけど、後半はシュート練習みたいにボコボコにされて。もちろん悔しさはあったけど、それでも無邪気に楽しかった」
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リオでの充実感「次は東京」とはなれなかった
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