女子バスケット選手・吉田亜沙美が引退後半年でコートに戻ってきた理由
東京五輪に向け、かつてJX-ENEOSで指揮を執ったこともあり、‘17年から女子日本代表ヘッドコーチを務めるトム・ホーバス(アメリカ)は、目標は金メダルと公言する。
「トムは『金メダルを取る』って断言していますが、可能性がなかったら絶対に言わない人。それだけ自信があるんだろうし、私たちのことを信じてくれているんだと思う。アメリカはめっちゃ強い。でも、リオで負けた借りを東京のファイナルで果たせたら最高。五輪の会場はさいたまスーパーアリーナで満員になる? 女子はそんな環境でやったことがないので、どうなるか本当に楽しみです」
もちろん、日本代表の東京五輪出場は決まっているが、選手個々の競争は今後も続くことを吉田はわかっている。
「代表に残れるかは、今後どれだけアピールできるか。現役のときに五輪が母国で開催されるチャンスなんて二度とない。そこに出るために復帰したし、最後にピックアップしてもらうためにも後悔の残らないようにチャレンジしたい」
2020年1月12日。JX-ENEOSは皇后杯全日本選手権の決勝でデンソーに83-53と勝利し、7連覇を決めた。スターターに復帰した吉田も20分超のプレーで、両チーム最多の9アシストをマークした。
夏以降のことは、どうするか「まったく白紙」と笑う。半年のブランクで失ったものもあれば、改めて気づいたこともある。吉田は東京五輪に向け、ゆっくりと確実に前進を続けている。
※編集部注
1月22日、ベルギー・オステンドで行われる東京2020五輪予選(2月6日~9日)に臨む候補メンバーが発表され、吉田亜沙美も招集された(プレ予選同様、日本は開催国枠で出場権を手にしているが参加)。
【スケジュール】
2020年2月6日 日本(10位)vsスウェーデン(22位)
2020年2月8日 ベルギー(9)vs日本
2020年2月9日 カナダ(4)vs日本
*()内は現在の世界ランキング
【プロフィール】
よしだ あさみ ’87年10月9日、東京都生まれ。JX-ENEOSサンフラワーズ所属。東京成徳高校3年時に主将として、インターハイ、国体で優勝し、高校生ながら日本代表入りを果たす。卒業後は、JOMO(現JX-ENEOS)に入団し1年目から主力として活躍し、前人未踏の国内リーグ11連覇など数多くのタイトル獲得に貢献した。’16年リオ五輪では主将としてベスト8進出。2018-19シーズン限りで一度は現役を引退したものの、東京五輪を目指して’19年9月に電撃復帰し、同年11月に2年ぶりに日本代表にも復帰した。ポジションはポイントガード(PG)。コートネームは「リュウ=流」。身長166cm。
取材・文/栗原正夫 撮影/ヤナガワゴーッ!
この連載の前回記事
この記者は、他にもこんな記事を書いています
ハッシュタグ