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小太りは長生きする?「内臓脂肪=悪」は間違った認識かも

痩せすぎは早死にのリスクが高く、小太りこそ長寿の秘訣!?

やっぱり小太りがイチバン!「メタボ肥満は万病のもと、痩せれば健康!」などと脅されて、右往左往する姿は痛々しい。だが、そんな痩身迷子たちに朗報だ。最新の調査から、その努力は必要ないようなのだ。

小太りは長生きする……その医学的根拠が判明!?

 歴史を振り返れば、’80年代に一世を風靡した「りんごダイエット」や「ゆで卵ダイエット」に始まり、昨今では「糖質制限ダイエット」や「サバ缶ダイエット」など、毎年のように新しい「○○ダイエット」がテレビや雑誌を賑わせている。ネット上ではさらに珍奇なダイエット法が怪しげな効果効能を謳っており、いまや我が国は一億総痩せ体形を目指して突っ走っているかのようだ。  東京都健康長寿医療センター研究所は、’87年から東京大学および米ミシガン大学と共同で、60歳以上を対象にした追跡調査を実施している。その最新の結果(’17年)によれば、肥満指数(BMI)の低い痩せ形は死亡リスクが高い一方で、軽度や中度の肥満であればリスクは変わらなかったのである。  この傾向は働き盛りの40~59歳の中高年世代でも同様で、国立がん研究センターの研究者らが、すでに’02年に論文を発表している。それによると、最も死亡リスクが高いのは男女ともにBMIが最も低い層である14~18.9の層だったことが判明した。
やっぱり小太りがイチバン!

BMIの数値が、がんや循環器疾患などのリスクにどう影響するかを表したグラフ。’90年~’92年にかけて40~59歳の男女約4万2000人を対象にアンケートを行い、その後10年間の追跡調査を実施して得られたもの

 BMIとは、健康診断の際、肥満や低体重の判定に使用されるもので、「体重(㎏)÷身長(m)の2乗」で算出される。WHO(世界保健機関)による肥満度判定基準では、18.5~25未満を普通体重と定めている。これを日本人に当てはめ、平均身長を170cmとすると体重53~72㎏にあたるのだ。  だが、このレンジに入っている人々の死亡リスクは、一部を除いて軒並み高い。つまり、苦労して痩せるよりは、BMI 23~26.9、体重換算で66~78㎏の小太り体形のほうが死亡リスクが低いのである。  こうした調査結果に大きく頷くのは、外科医の今津嘉宏氏。これまで数々のがん手術を扱ってきた今津氏は「小太りな人は健康」を現場で実感してきた。 「ここで注意したいのは男性のほうが、より『小太りは健康』の傾向が強いことです」
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「内臓脂肪=悪」は間違った認識!?
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