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小太りは長生きする?「内臓脂肪=悪」は間違った認識かも

太りにくい人は腸内環境を改善

やっぱり小太りがイチバン!

理想の体形は不健康だった!? 体脂肪率は1桁、割れた腹筋。誰もが理想とする体形よりも実は小太りのほうが……

 一方、ダイエットに詳しい専門家はこの議論をどう捉えるのだろうか。中高年向けのジムを主宰している枝光聖人氏に聞いた。 「確かに、痩せている人に比べて、体重がやや重い人のほうが元気で長生きという実感はあります。ただし、BMIは身長と体重から割り出しているため、筋肉量と体脂肪量が考慮されていません。脂肪よりも筋肉量が多くて重い人のほうが健康的ですね」  いうなれば「筋肉小太り」が最強の健康体ということか。確かに、筋肉量が健康に及ぼす影響について調べた米ミシガン大学の最新研究によれば、「筋力が弱い人ほど寿命が短い」ことがわかっている。特に握力の強さが健康状態を測る上で有力な判断材料になっているという。 「なぜ握力が寿命と関係しているのかといえば、指は日常生活で必ず使うから。その力が落ちているということは、下半身の筋力など、ほかの部位も相当衰えている証拠になるのです。そうなればもう日常生活もおぼつかないです」  好きなものを食べて飲んで、筋トレなどには目もくれずに小太りを維持しながら長寿を望む……はさすがにダメということか。 「かといって、ムチャな食事制限をするのは絶対に避けてください。どんなに健康な人でも、40歳以降になれば、自然に筋肉量が少しずつ落ちていきます。そんななかで低カロリーダイエットや低糖質ダイエットをして十分に食事を取らなければ、さらに著しく筋肉が減ってしまいます」  つまり、しっかり食べて筋肉量を増やすことで、結果的に普通体重よりも小太りのポジションに達することが大切というわけだ。  こうまで言われると、いくら食べても太れない、痩せやすい体質の人たちは不安になるだろう。そんな方に今津氏がすすめるのは腸内環境へのアプローチだ。 「腸にいる腸内細菌の種類によって代謝が変わり、痩せやすい人と太りやすい人がいることが最近の研究でわかってきました。ですから痩せやすい体質の人は、無理をしてたくさん食べるのではなく、納豆、味噌、ヨーグルト、チーズなどの発酵食品を積極的に食生活に取り入れてみましょう。  1週間同じものを食べ続けて、いつもより便の調子がよければ、その食品が自分に合っていて腸内環境が改善されているということ。何をしても太れない人に関しては、漢方薬で腸内細菌のタイプを変えるという方法もあります」  小太りへの道は、すべての人に開かれている。 【外科医師・今津嘉宏氏】 芝大門いまづクリニック院長。外科医の豊富な経験を生かしつつ、漢方医として体質改善、栄養指導にも取り組んでいる 【パーソナルトレーナー・枝光聖人氏】 日本初の中高年専門パーソナルトレーニングジム「心身健康倶楽部」代表。これまで延べ2万回の指導実績を持つ 取材・文/福田晃広 野中ツトム(清談社)
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