恋愛・結婚

女嫌いをこじらせたイケメンの闇「復讐相手は女なら誰でもいい」

「僕は『復讐する相手は女だったら誰でもいい』と思っています」  先日、とある飲み会で一緒になった田中雄一郎さん(仮名)が、酔いも回った深夜になって、そんな話をはじめた。現在33歳の田中さんは、出版社に勤務する編集者。服装や雰囲気は20代に見える若々しさで、ワイルドなヒゲを蓄えた今どきのイケメンだ。初対面の人とも楽しくコミュニケーションができて、かなりモテそうなタイプに見える。
田中さん

30代でも細身の体型をキープしている田中さん。飲み会で同席した女性にも「イケメンすぎて緊張する」と言われていた

 田中さんがそんな話を始めたとき、同席していた我々は、「田中さん、一体どうしちゃったんスか!」と困惑しつつ笑っていたのが、発言の内容が内容なだけに、真面目に話を聞いてみることに。すると、田中さんのミソジニー(女性嫌悪・女性蔑視)は根深いものであり、他人事として聞けない恐さもあるものだった。  本稿では、「見た目もカッコよく、モテなかったわけでもない男性が、なぜ女性蔑視に陥ったのか」を、本人の言葉をもとに掘り下げていく。

女って狭量すぎません?器が小さすぎますよ

 30代の今もイケメンの田中さん。やはり若い頃も、それなりにモテていた。 「中学生とか高校生の頃も、告白されることは何度かありましたし、付き合った女の子もいました。でも、『あいつは服がダサい』とか、『会話が退屈で、一緒にディズニーランドに行っても並んでる途中ずっとヒマだった』とか言われて、最終的には僕がフラれるんです。付き合ってから、『あの男、マジでないわ~』と言われるタイプなんですよ」  田中さんは「そうやってフラれてきたのは、自分の至らなさのせいなんですけど……」と話しつつ、次のように続けた。 「そういう経験が続くなかで、『女の人って色んなポイントで男を見定めてるんだな』と気付いて、女性への憎悪が芽生えてきたんですよ。だって、同じような至らなさを見せられても、僕は女をフらないですから。女って狭量すぎません?器が小さすぎますよ!」  何度もフラれて傷ついた経験から、個々の相手を超えて「世の女性たち」に憎悪を持つようになっていった田中さん。その憎悪は、女性を神聖視していたからこそ生まれたものなのではないか……と感じられる話もあった。 「僕はもともと、女の子のことを純粋に好きだったんですよ。高校時代も、周囲の男女はセックスをしていても、僕は手をつなぐだけで満足してる感じでしたし。だから女の子と付き合うようになっても、僕のマインドはずっと童貞のままでした」  大人になってからも様々な恋愛を経験したが、ルームシェアをしていた時期にもショックな出来事があったという。 「自分と一度セックスをしたルームメイトの女の子が、僕も一緒にいる部屋で、ほかの男とセックスするようになったんです。僕は一度セックスをした女性のことを絶対好きになっちゃうんですけど、女の子の側はいつも別の男を好きになる。それで、『やっぱり女ってクズだな』と思うようになりました」

自分が傷つきさえすれば、相手を傷つけられる

 その憎悪が具体的な行動に結びつくようになったのは、20代も半ばになった頃。編集者として仕事をしていた雑誌の企画で、ナンパをしたことがきっかけだった。 「ナンパって、失敗すると最初はすごく傷つくんですよ。でも頑張って100人に声をかければ、数人は付いてきてくれる。それまで僕にとっての女性は、手の届かない星のような存在で、自分から積極的な行動に出られなかったんですけど、ナンパをしたことで『自分が傷つきさえすれば、相手を傷つけられる』と気がついた。その瞬間から、僕は『金田一少年の事件簿』の犯人のように、復讐の鬼になりました。女全体を復讐の対象にするようになったんですよ」  復讐といっても、田中さんは犯罪行為などに手を染めているわけではなさそうだった。「復讐って具体的にどんなことで、成就した瞬間ってどんなときですか?」と聞くと、以下のような答えが返ってきた。 「たとえば、昔に自分をフッた女と再開して、ヤリ捨てるようにホテルを出たときですね。付き合っていた当時、僕も彼女も表現活動をしていて、お互いまったく売れていませんでした。  それが久しぶりに再開したときは、僕は仕事で食えるようになっていて、彼女はまだ食えていなかった。自分が上の立場になって、『オレ明日、仕事があるから』と出ていったときは気持ちよかったですね。その後も」
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しかし自己嫌悪がやってくる
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