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<純烈物語>酒井が「1・4新日本プロレス」の解説席から見た飯伏幸太はあのときと同じ目をしていた<第32回>

「どうしたの? こんなところで」「今日の大会の解説をやるんだよ」

 1月4日当日、酒井はまずグラウンド内に足を踏み入れた。これまではスタンド席から見下ろしていた巨大空間を360度見渡していると、旧知の間柄である『仮面ライダークウガ』のプロデューサーと顔を合わせる。 「どうしたの? こんなところで」 「今日の大会の解説をやるんだよ」 「えーっ、解説!?」    そんなやりとりをしていると、ぬるっという感じで飯伏が近づいてきた。お互い「おーっ!」となり、記念すべき再会を写真に収めた。 「みんながまわり道って言うんですけど、僕は東京ドームのメインという夢に最短で来たと思っているんです。本当に嬉しいです」  そう言って飯伏は笑った。それを聞いた時、酒井は自分も嬉しくなった。  実力でつかんだものであると同時に、年間最大のビッグマッチのメインを任されるまでの信用がそこになくして、形とはならない。会社やレスラー仲間、何よりもファンが「飯伏だったらドームの大トリを張るのにふさわしい」と納得しなければ、興行としての成功は難しい。  ジャンルこそ違えども、同じように人前で表現することを生業としているから「任せられた男の喜び」が会話の中で染みたのだ。飯伏を激励したあと、酒井は押さえていたスタンド席に移動し三男、四男とともに観戦。その間も、テレビスタッフ&出演者用の控室をいったり来たりしていた。  自分がいない時に、子供たちの面倒を見る大人が必要なため夫人に頼んだものの「私、プロレス苦手なの」のひとことで済まされ、事務所のスタッフが一緒に観戦。そうこうしているうちに酒井の担当であるセミファイナルとメインが近づいてきた。 「控室ではテレビ朝日のアナウンサーの皆さんやスタッフさんたちが、いかに中継を見ている人たちを熱くさせるように伝えられるかということをみんなで考えているんです。マッスルの時も一人ひとりのプロレスラーたちが、肉体を鍛えていることより先に『こんなに頭がいいの!?』と思ったんですけど、伝えようと思っていることを共有して臨んでいる姿を見て、放送席へ座る前からメチャクチャ感動しちゃって。  この時点で、やっぱりプロレスが好きでよかったなあと思いました。日本のプロレスの中で一番大きな大会に携わってもあぐらをかかず、純烈が健康センターでやっているのと同じ気持ちで向かっているのが嬉しかったですね。裏方もそういう姿勢を持っているんだから、それは新日本プロレスがどんどんよくなっていくはずですよ」

ゲスト解説として紹介され、東京ドームの大型ビジョンで抜かれた

 リングサイドへ向かう前から気持ちが高揚していた酒井。セミ前の試合時には放送席付近に陣取り、子どもの頃から見ていたプロレスを選手の息づかいが聞こえてくるほどの至近距離で眺める。  そしてジェイ・ホワイトvs内藤哲也のIWGPインターコンチネンタル戦より放送席へ加わり、開始のゴングが鳴らされた直後に紹介を受け、そのカットが東京ドームの大型ビジョンに大映しとされた。反対側であるバックネット裏の記者席から眺めても、普段の純烈のステージ上とは明らかに違う表情を浮かべていた。 「そりゃ緊張するって! プロレスは好きだし、選手をリスペクトしていますけど、僕は本格的なプロレスラーではないわけで。こういう言い方が当てはまるかわからないけど、純烈自体が本格的な歌手としてのスタートではなかったように、僕は壁を低く見せるポジションの人間だと思うんです。  特撮が好きで子どもと見ていたお母さんたちが、僕がマッスルに出た時に初めて見に来てプロレスファンになったり、純烈も酒井がやるっていって面白がったりする人たちがいて、それで今度は酒井が新日本のゲスト解説!? ってなって。夢をかなえるポジションというかね。そんな僕がプロレスについて語って、テレビやネットの生中継の向こう側にいる視聴者にまで聞かれてしまうんですから」  自分が何を喋っているかを意識する余裕などまるでなかったから、すべてを終え自宅で中継を見直した時点で「俺、こんなことを言っていたのかよ!?」と驚いた。ただ、現役プレイヤーとして解説も務める真壁刀義が「酒井さん、今のどう思う?」と何度も振ってくれたおかげで、話を差し込みやすくなった感謝する。
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オカダさんは氷川きよしでした
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