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一生、食いっぱぐれない人とは…落ち目の日本で生きのびる道/アマゾン元幹部に聞く

早いうちに、海外との仕事で揉まれたほうがいい

――あとは、やはり「海外との仕事」は視野に入れるべきなんですよね? 星:そうですね。日本国内のマーケットが縮小していくことは確実ですから、チャンスも当然減っていきます。  一方で、インドや中国、東南アジア、アフリカ諸国など、今後も人口が増えていく国があるわけです。将来性がありますし、仕事をしていても活気があっておもしろい。仕事をするモチベーションにつながるとは思いますね。 空港――発展中の国はおもしろいですか? 星:私自身、最初に赴任した国がソ連で、そのあと、インド、シンガポール、フランス、ルーマニア、タイで働きました。成長途中の国のほうが、いろいろなチャンスがあって、仕事はおもしろいですよ。ただ、法律が未整備だったり、理不尽なことはたくさんあります。でも、若いときにそういう環境で揉まれた経験は、成長につながったと思っています。 ――英語も含め、勉強しなきゃですね。 星:勉強することはビジネスマンにとって常に必要。それが本なのか、新聞なのか、ウェブなのか、媒体は時代によって変わるでしょうが、学ぶことはやめてはいけないと思います。 ――星さんは、数社を経てアマゾンで50代まで活躍し、仕事人としてはサバイブできたわけですよね。意識して学んできたことはありますか? 星:これまで働いた国で、その国の言葉はなるべく覚えるようにしました。英語だけで仕事をすることもできますが、母国語で話すと現地の従業員との距離が近くなる。お客さんとも直接話ができて、情報が直接入って来る。語学にはものすごく時間を費やしましたね。  というのも、手痛い経験をしているんです。タイにいたとき、タイ語が話せなくて……ある日、会社に行くと従業員が誰もいない。私に対してのストライキだったんです。 言葉の壁もあって、従業員との間に距離ができてしまっていた。給料の不満もあったようですが、「星さんは上ばかりを見て、自分たちのことを考えてくれない」「信用できない」という思いを募らせていた。私はそれにも気付かなかったんです。 ――うわぁ。 星:いまはエラそうに語っていますが、そんな痛い経験もしました。だからこそ、言葉の大切さ、郷に入れば郷に従う必要性を知ったわけです。失敗したからこそ気がついたことですね。 ――まずは旅行でもいいから、広い世界を見たほうがいいですね。今はLCCもあって安いんですから。 星:若いうちにチャレンジする場に飛び込んでいかないと、30歳、40歳になったときに周囲と大きな差がついてしまいます。人間は楽なほうを選びがちですが、挑戦したほうが人生は楽しいですし、道は拓けていくはずです。
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50代で転職を決めたわけ
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