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一生、食いっぱぐれない人とは…落ち目の日本で生きのびる道/アマゾン元幹部に聞く

 新型コロナ危機で、IT技術によってマスク不足を防いだ台湾。学校をオンライン授業に切り替えた中国。IT時代に日本が遅れをとっていると実感した人も多いのではないだろうか。  日本企業が凋落して、米中をはじめとする世界企業に攻め込まれている現在。私たちは、今後も稼いで食べていかねばならない。今、どんな力をつけるべきなのか? ビジネスマン危機 アマゾンジャパン元経営会議メンバーで、『amazonの絶対思考』の著者である星健一さんに、話を聞いた。

逃げ切れない世代はどうすべきか?

――まず、これから日本はどうなると思いますか? 星:日本の経済はまちがいなく衰退していきます。1億人以上の人口がいる巨大マーケットとはいえ、20年後は人口が減って老齢化しマーケット需要構造が変わってくる。その変化により、ますます海外マーケットを相手にしなくてはいけないし、移民も受け入れていくことになるでしょう。 10年後、たとえば都市銀行はまだ潰れていないでしょう。しかし、20年後はわからない。現在40代50代の人は、表現は悪いですが、ギリギリ逃げ切れると思います。でも、20代30代の人は激変した社会に直面するでしょうね。 ――凋落する日本と避けられないグローバル化の流れ。どうすればいいですか? 星:まずは、現状をきちんと認識するということです。日本のメディアは経済を悲観的に語るわりに、日本の民族や文化に対してはすごく甘くて、「日本は世界に愛されている」「日本はこんなに素晴らしい」と報じますよね。  こんなに住みやすく豊かな文化の国に暮らせば、そこそこ幸せ。安定したゆるい感じの日本にいれば安心だと思っている若者も少なくないかもしれません。しかし、今とは異なる厳しい世界で生きていかざるを得ないのは明らか。現状認識を変えて、まず、外に目を向けるということ。そして、自分のスキルセットを棚卸しすべきだと思います。

英語力は絶対に必要。議論の余地はない

――具体的には何が必要でしょう。 星:英語はマスト。英語力が必要かどうかなんて、議論するまでもない。やるしかありません。悔しいけれど国際語ですから。さらに中国語ができたほうがいい。  なんだかんだ言っても、日本は1億2000万人いるので市場は大きく、いまは英語がなくてもできる仕事はたくさんあります。でも、20年後はそうはいきません。英語ができたうえで、自分のスキルは何で、何が課題なのかを明確にすることです。 英語力――とはいえ、自分のスキルをどう考えていったらいいのか、よくわかりません。 星:経営戦略や現状分析を考えるとき、「SWOT(スウォット)分析」というフレームワークがあります。Sは 「Strengths」強み、Wは「Weaknesses」弱み、Oは「Opportunities」で機会とか挑戦できるエリアのこと。Tは「Threats」で脅威、リスク要因ですね。  こうした観点から自分の棚卸しをしていくわけです。自分の強み・弱みは何か? 人生で何をしたいんだろう? 自分のスキルセットは何があるのか? 何が足りないのか? こうしたことを、まず整理する。そのうえで、どうキャリアを作っていくのかを考えるんです。 ――キャリアも自分で作っていく、と。 星:キャリアの作り方はたくさんあって、垂直方向にスキルを高めていく“匠(たくみ)”系もそのひとつ。技術者やファイナンスアナリストなど、エキスパート、スペシャリストと呼ばれる道ですね。  あるいは、ジェネラルマネージャーの道を選ぶのなら、横方向にいろいろな部門を経験し、さまざまなスキルをつけていく必要があります。  会社から決められた部門で指示どおりの仕事をしていてはダメです。5年後、10 年後の自分を思い描き、そのためには3年後に何をしていなくてはいけないのか? いま、何をしておくべきなのか? 転職も含めて、プランを立てるべきだと思いますね。

ご用聞き営業マンのような仕事に未来はない?

――近い将来、なくなる仕事も多いと言います。どんな仕事が有望ですか? 星:たとえば、いまのアマゾンで多く求められている人材は、エンジニアやプロダクトマネジメントなどの「手に職」系です。10年くらい前からですが、プログラマーというかテクニカルエンジニアの需要はものすごい高く、給料も大卒初任給で年収何千万円ということもある。 ――やっぱり、技術者ですが…。 星:人間がやらなくてもいい仕事、AIなどシステムが代替できる仕事は、正直、厳しいでしょうね。  例を挙げると…私は「アマゾンビジネス」というBtoBの購買サイトを立ち上げたのですが、これは見積もりをとる必要もなくオンライン上で安いところがすぐにわかり、ワンクリックで購入できるというものです。  ご用聞きの営業マンの需要も減るし、企業内の購買も効率化が進めば、担当も必要なくなる。こうした仕事は、就職も転職も厳しく、なにより需要減となる仕事自体に楽しみを見出しにくくなる。考えること、戦略を練ること、手に職系やクリエイティブ系のニーズのほうが断然、高くなるでしょうね。
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