温泉に連れて行ってもらいたい
――23才にして数々の主演作を持つ松本さん。今回も主演を務めていますが、作品の看板を背負うことに対し、意識していることはありますか?
松本:うーん……気持ち的には、主演でも脇でも変わらないことが大事だと思っています。極論ですけど、脇だからって手を抜くことはないじゃないですか。
――確かに。
松本:だから、今できることを全力でやること。そうしたら周りの人もついてきてくれると思っています。あとは、現場のみなさんに「好かれたいな」とは思います(笑)。「私についてこい!」ではないですけど、撮影の合間も出来る限り周りに声をかけて「この人と一緒に良いものを作りたい」と思ってもらえるようにしたいです。こういう気持ちは、主演のときは特に強いかもしれないですけど、出来ているかと言うと……微妙(笑)。むしろ出来ていないかもしれません。今やっているドラマ(『病室で念仏を唱えないでください』主演は伊藤英明で、松本は同じ救急で働く医師を演じる)のほうが、積極的にコミュニケーションをとっているかも。主演って、気づかないうちに圧が掛かっているんだなってあとになって気づきます。
――「病室で〜」で主演を務めている、伊藤英明さんはどんなふうに振る舞っていますか?
松本:英明さんは、いい意味で自由ですね。みんな「小学生みたいだ」と言っています。それくらいお芝居に対してまっすぐなんですよ。納得いかないことがあれば、納得いくまで話し合っています。だから、力強い主演ですよね。
――「ついていきたい!」と思わせる主演ですね。
松本:ただ、長年積み重ねている英明さんと私では違うので、意識しすぎず私なりの振る舞いでいれたらと思ってます。無理するのもよくないと思うので(笑)。
――先程、渋川さんや片桐監督とお酒を飲んだというお話がありましたが、普段、松本さんがお酒を飲むのはどんなときですか?
松本:お休みの日が多いですね。でも最近、「私はあまり飲まないほうがいいタイプの人間だな」と思うんです。なんというか……開放されすぎちゃうんですよ(笑)。だからよくないなって。
――例えば、どういう?
松本:泣いちゃったりするんです(笑)。一人だろうが、友だちと一緒だろうが泣きます。飲むようになって気づいたので、できるだけ止めておこうって(笑)。
――じゃあ、今回の映画のお父さんまではいかないまでも、危うい気配はあるんですかね。制御できないというか。
松本:あ、ありますあります。……と、言ったらあれですけど(笑)。気をつけたいなとは思います。でも、悩んだときとか落ち込んだときはお酒に助けられるのも確かなので、たまになら。すごく親しい友だちと一緒に飲んで、少し迷惑かけるくらいなら許してくれるかなと思います(笑)。
――では最後に。だんだん春めいてきましたが、暖かくなってきたらやってみたいことを教えてください。
松本:季節を意識することってあまりないんですけど、暖かくなったら旅行には行ってみたいです。海外とか、日本でも時間がかかるところだと疲れちゃうので、近場がいいですね。それに、人に連れて行ってもらう方が嬉しいです。車に乗せてもらって、寝ていたら着いてたくらいがベスト(笑)。
――自分が運転するでも、電車で行くでもなく(笑)。
松本:そうですね(笑)。誰かに連れて行ってもらいたいです。それで、都会の喧騒から離れられる程度の場所の温泉でゆっくりしたいなと思います。暖かくなったら、風も気持ちいいですよね。
取材・文/松本まゆげ 撮影/武田敏将