東野幸治に聞く。レギュラー番組10本なのにCM出演ゼロの不思議
2020年、この男の快進撃が止まらない。今年2月下旬、吉本芸人の素顔を独自の切り口で暴いた『この素晴らしき世界』(新潮社)を上梓。1か月を待たずして重版となり、スマッシュヒット中だ。また、刊行とほぼ同時期に、実の娘をディレクターに据えYouTubeなのに音声のみの『幻ラジオ』を配信開始。こちらも登録者数10万人に上ろうとしている。
少年のような好奇心と、老人のような諦念の境地を持ち合わせ、悪魔のようにケラケラと他人をイジり倒しながら、神のように崇められることもある不可思議な男・東野幸治。そんな、毒舌を吐き続けても絶対に嫌われない男の魅力に迫る!
――まず気になったのが、東野さんがイジる芸人のストライクゾーンについて。『この素晴らしき世界』でも、ほかの人だったら怒られるかもしれない東野節が炸裂しています。
東野:いや、たぶんみんな怒ってるんじゃないですかね (笑) 。ただ、僕がイジりたくなる芸人って、結局はオリジナリティのある人だと思うんです。キングコングの西野にしても『はねるのトびら』の最後のほうぐらいから急に気になり始めて。普通は5のイジりに対して5のツッコみで返すんですけど、あいつは2のイジりに8もツッコんだりする。上手なようで上手じゃないんです (笑) 。そこが愛おしくて目が離せないというか。その頃からずっと西野ウォッチャーですけど、いまや時代のトップランナーですもんね。
――書籍タイトルの“世界”には、芸人の世界だけでなく吉本興業という世界も描かれていると感じました。
東野:なんせ、所属芸人が推定6000人でしょ? 吉本って、巨大なひとつの生き物みたいな感じで。
――6000分の1のなかで、東野幸治が生き残っている理由、その自己分析を教えてください。
東野:「総合演出の気持ちが一番わかってるタレント」なのかなぁ。僕を選んでくれたスタッフさんには、たぶんこうなるだろうなぁというビジョンがありますよね。それを自分なりに理解した上で、2割増しぐらいで納品するつもりでやってきました。
――その才能は磨いてきたもの?
東野:いや、ミーアキャットみたいなもんで、怯えて芸能界を生きてきましたから (笑) 。ちょっと顔出して「こんなん求められてるのかな?」っていう。だから、いじめられっ子の処世術だと思います。
――そんな東野さんは、レギュラーが10本もあるのに、なぜCMはゼロなのですか?
東野:いやいや (笑) 。別に僕はCMをやってもいいんです。ただ、冷静に考えると、僕が麻婆春雨を食べてるCMを見て、はたして誰が買うのかと。永谷園さんですかね? あの会社で働く人らが一生懸命売ってきた商品でしょうから。そんな大切なお金を僕なんかにはベットしないと思います。三宅裕司さんとかぐっさんとか綾瀬はるかさんとかにベットするんじゃないですかね。俺なんて、ルーレットで言うたら「00」みたいなもんですから (笑) 。
※4/7発売の週刊SPA!のインタビュー連載『エッジな人々』から一部抜粋したものです
【Koji Higashino】
’67年、兵庫県生まれ。高校在学中に吉本興業の新人オーディションに合格し、お笑い芸人になる。現在、『行列のできる法律相談所』『東野・岡村の旅猿』『ワイドナショー』など多数のテレビ番組にレギュラー出演。山登りや釣り、漫画など趣味にも傾倒
取材・文/唐澤和也 撮影/大橋 仁
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