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<純烈物語>「紅白」と言っていられない現実の中で、リーダー酒井がファンに伝えたいこと<第41回>

「この火事場はチャンス」「死んだらアカンねん」

 あと考えるのは、この火事場はビジネスチャンスでもあると。現実問題として、やっていけなくなり潰れるところが出てくるのは避けられないわけで、そこで優秀な人材なのに食えなくなって困っている人を救う意味でもそれは間違っていないと思う。要はこういう世の中であっても、まだまだ前に進みたいんですよ」  4月4日のツイートで、酒井はファンに「死んだらアカンねん」と呼びかけた。それは自分自身に対するゲキもあった。  2020年は2ヵ月しか稼働しておらず、2度目の紅白出場に関して世話になった人たちや、全国にお礼を告げていないファンがたくさんいる。だからこそ生き抜いて、きたるべき日に回れる準備をしておく。  コロナ前に戻りたいと思うよりも、コロナ後によりよくなるための準備。今年上半期の山と考えていた明治座公演も中止となった今、デビュー以来打ち出してきた紅白出場に関し、現時点で酒井はどう考えているのか。 「正直、紅白への道筋はいったん止まっていると思っています。なぜなら現段階では、やるかどうかもわからないから。ただ、やってほしい。これは俺の妄想になるんだけど、北島三郎さんがこんな時こそ景気づけに出るよと言って『まつり』を歌って、矢沢永吉さんも吉田拓郎さんも手を挙げて、俺らが出られなくなるぐらいが一番嬉しい。世界中が国難の時代に、花吹雪を出す大道具さんとして純烈は参加するというね。  そこまで回復していれば嬉しい。もう自分がどうこうじゃないわけで、紅白って言っていられないのが現実なんだよね。でもさ、これってちゃんとやりさえすればより人と人のつながりが強くなるタネではあるんだと思う。やっぱり今は、愛する人といるのが大事。当たり前のこと、自分が身を削ること、相手を守ること……人間は愛によってそういう行動をとれるはずだから」  そういう言葉が返ってくることはわかっていた。それでも世界一“紅白”の二文字を口にしてきた人間から聞く現実感の重みは、ズシンとこたえた。  今、我々はそんな時代と直面している。ならば、人として生き抜くための力を求めて愛をくださいと唱えよう。「数えきれない悲しみ越えたら僕らの明日がくる」ことを信じて――。(この項終わり) 撮影/ヤナガワゴーッ!
(すずきけん)――’66年、東京都葛飾区亀有出身。’88年9月~’09年9月までアルバイト時代から数え21年間、ベースボール・マガジン社に在籍し『週刊プロレス』編集次長及び同誌携帯サイト『週刊プロレスmobile』編集長を務める。退社後はフリー編集ライターとしてプロレスに限らず音楽、演劇、映画などで執筆。50団体以上のプロレス中継の実況・解説をする。酒井一圭とはマッスルのテレビ中継解説を務めたことから知り合い、マッスル休止後も出演舞台のレビューを執筆。今回のマッスル再開時にもコラムを寄稿している。Twitter@yaroutxtfacebook「Kensuzukitxt」 blog「KEN筆.txt」。著書『白と黒とハッピー~純烈物語』『純烈物語 20-21』が発売
純烈物語 20-21

「濃厚接触アイドル解散の危機!?」エンタメ界を揺るがしている「コロナ禍」。20年末、3年連続3度目の紅白歌合戦出場を果たした、スーパー銭湯アイドル「純烈」はいかにコロナと戦い、それを乗り越えてきたのか。
白と黒とハッピー~純烈物語

なぜ純烈は復活できたのか?波乱万丈、結成から2度目の紅白まで。今こそ明かされる「純烈物語」。
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