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<純烈物語>仕事が消えていく中、府中駅前で酒井にエネルギーをくれたおばちゃん<第40回>

酒井一圭サイン会

<第40回>純烈がファンの前で歌えなくなった中、府中駅前で酒井一圭が体感したエネルギー

「1度目はスーパー銭湯アイドルとして10年間頑張った人たちの初出場で、今回はいろんな逆境のもとみんなに応援されて出られた。じゃあ3回目は?となった時、それらは判断材料にはならない。今はご褒美タイムだけど、これから必ずまた何かが起こる。そうなったら絶対に乗り越えると思わなければやっていけない。その姿勢にはすでになっています」  昨年、2度目の紅白歌合戦出場を決めたあと、酒井一圭はそう言った。純烈を引っ張るリーダーとして、すでに喜びの先を見据えていたのだ。  ところが、その「何か」がスキャンダルや人間関係、芸能界の魑魅魍魎な力といった類ではなく、まったく想定できぬものだった。2月4日より横浜へ寄港した客船「ダイヤモンド・プリンセス号」の船内で新型コロナウイルス感染者が確認され、連日報じられるようになったあたりから純烈のコンサート会場でもマスク着用者が日を追うごとに増えていった。  東名阪のような大都市より地方の意識が高く、1500人のオーディエンス全員がしている会場もあった。そんな変化を感じ取った酒井は、2月18日の時点で「昨日まではできたけどこれからはできない」と判断し、純烈にとって三種の神器の一つである「ラウンド」をやめた。  CDでも楽曲は聴けるのに、なぜお金を払ってまでしてライブに来るのか。もちろん本人たちを拝んだり、MCを楽しんだりするのも目的だが、やはりファンの前にあこがれのメンバーがやってきて握手と言葉を交わせるところが、何物にも代え難い魅力となる。  だが、コロナ感染予防のマストである濃厚接触を避けるためには、ラウンドを含むファンとのふれあいをやめる以外にない。2月19日、長野・諏訪のRAKO華乃井ホテルにおけるランチ&ディナーショーをはさみ、翌20日のTBSテレビ『グッとラック!』へ出演したさいに「事態が鎮静化するまでライブ中の客席での歌唱、終演後の握手、ハイタッチ、写真撮影会を中止とさせていただきます」と発表した。  応援してくれるファンと直接的にふれあうことで自分たちの思いを伝えてきたグループにとっては、苦渋の決断だった。世の中の情勢的には、まだ判断の難しいタイミングである。 「でも、僕がそう決断してマネジャーと営業に振ったら2人とも理解してくれて、異なる価値観を持っている者は純烈チームの中に一人もいなかった。みんなが世の中の情勢にアンテナを立てていたからすぐに対応できたし、お客さんの方を向いて物事を考えられる態勢が整っていたんですね。  会場にはレコード店も来ているから握手会をやった方が売れるんです。でも、ラウンドはもちろん、握手会も撮影会もやらないことに同意して、応援してくれるお客さんも本音は握手をしたい、写真を撮りたいのになんとかならないのかと言ってくる人もいなかった。周りもファンもこういう人たちだから、復活できた時も純烈は大丈夫だと、その時点で思えました」  こうしてやれる範囲に限られるとしても、ファンに喜んでもらえるよう活動を続けるつもりでいたが、状況はものすごい勢いで悪化していく。2月27日の大阪・もりのみやキューズモールBASEが、現時点におけるオーディエンスの前でやった最後の純烈ライブ。翌日の神戸公演から予定されていたコンサートや新曲『愛をください~Don’t you cry~』発売記念イベントは軒並み中止となった。公式サイトにアップされたスケジュールだけでもその数24本。  結成以来、歌えるならばキャバレー、バーカウンター、鉄工所とどこへでもいく姿勢を貫いてきた純烈が人前に出る機会を失った。もっとも、緊急事態宣言が公布された現在はどんなアーティストやエンターテイナー、スポーツ選手も同じ状況にある。
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スケジュール表から早送りのように会場名が消えていく……
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