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コロナ疎開で感染爆発の沖縄。3月の空港は繁忙期以上の混雑、GWも数万人規模…

県外から持ち込まれたコロナウィルス

 そして4月7日に安倍首相が緊急事態宣言を発令し、8日には玉城デニー知事が県外からの来県自粛を要請している。実際、沖縄では会社によっては転勤などでやむを得ず来県する人に到着後2週間の健康観察を行い、その間の外出や人との接触を控える措置を取っていた4月15日、タレントの石田純一が新型コロナウイルスに発症したと発表。10日に仕事で沖縄へ行き、そこで体の倦怠感を訴えていたというのだ。  首都圏から沖縄に戻ってきた身内と同じ屋根の下で暮らしている場合も同様の措置を取るという厳戒態勢の中での石田純一の来沖。「不倫は文化」と言ったセンスは認めるが、コロナはなんだというのだろうか。あまりにも意識の低い行動には怒りを感じる沖縄県民は少なくない。  そして、一番恐れていたことが起こった。16日、沖縄に一人の死者が出てしまった。奇しくも同日、安倍首相から緊急事態宣言の区域を全都道府県に拡大する発表がされた。20日には県独自の「緊急事態宣言」を発表し、沖縄本島と内地(本土)はもちろん、沖縄本島と離島、離島間での移動について自粛を求めた。  4月24日時点で感染者数134人。死者数4人。たった1カ月強で44倍に増えたのだ。冷静に見ても、沖縄がここまで爆発的に増えたのはもはや県外国外の移入という外的要因としか考えられない。  県外・国外からの移入例が15人、感染経路が不確かな者が48名(※17日までのデータ)となっている。不明瞭な感染経路の大半が、症状が出ずに保菌している若者のコロナ疎開や卒業旅行によって沖縄本島や八重山にウイルスを撒き散らしていたとしたら……。毎年GWには50万〜60万人弱の観光客が来沖する。今年はコロナの影響により来沖自粛が叫ばれているのだが、それでも数万人が沖縄に訪れると予測されている。  沖縄は東京や大阪と違い、高度な医療機関が少ない。本島ですらこの状況である。離島ではなおのことでだ。不用意な行動が美しい島とそこに住む人々の生活を破壊することにも繫がることを、あらためて理解してほしい。今、問われているのは、うつりたくないではなく、絶対に人にうつさない! なのだ。 <文/松永多佳倫> 作家。‘68年、岐阜県大垣市生まれ。出版社勤務を経て、執筆活動に入る。‘09年8月より沖縄に在住し、現在、琉球大学大学院人文社会科学研究科在学中。 高校野球を始め、スポーツ分野の著作物を精力的に執筆。主な著作は、『偏差値70の甲子園 – 僕たちは文武両道で東大も目指す -』(集英社文庫)、『マウンドに散った天才投手』(講談社+α新書)、『沖縄を変えた男―栽弘義 高校野球に捧げた生涯』(集英社文庫)、『善と悪 江夏豊のラストメッセージ』(KADOKAWA)など
1968年生まれ。岐阜県出身。琉球大学卒。出版社勤務を経て2009年8月より沖縄在住。最新刊は『92歳、広岡達朗の正体』。著書に『確執と信念 スジを通した男たち』(扶桑社)、『第二の人生で勝ち組になる 前職:プロ野球選手』(KADOKAWA)、『まかちょーけ 興南 甲子園優勝春夏連覇のその後』、『偏差値70の甲子園 ―僕たちは文武両道で東大を目指す―』、映画化にもなった『沖縄を変えた男 栽弘義 ―高校野球に捧げた生涯』、『偏差値70からの甲子園 ―僕たちは野球も学業も頂点を目指す―』、(ともに集英社文庫)、『善と悪 江夏豊ラストメッセージ』、『最後の黄金世代 遠藤保仁』、『史上最速の甲子園 創志学園野球部の奇跡』『沖縄のおさんぽ』(ともにKADOKAWA)、『マウンドに散った天才投手』(講談社+α文庫)、『永遠の一球 ―甲子園優勝投手のその後―』(河出書房新社)などがある。

92歳、広岡達朗の正体92歳、広岡達朗の正体

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昭和のプロ野球界を彩った男たちの“信念”と“生き様”を追った渾身の1冊

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