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新型コロナ治療薬、なぜアビガンよりレムデシビルが先に承認されたのか?

新型コロナの致死率と副作用を両天秤

 スピード勝負になるのは言うまでもない。ただし、当然その分リスクも大きくなる。前出の田村氏が話す。 「平時においては、薬の効果があっても副作用が大きければ認可はされません。だが、今回は平時ではない……。米国のFDAにせよ、日本のPMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)にせよ、規制当局は非常時だからゴーサインを出した。つまり、薬害が起きたら製薬会社だけでなく、規制当局も責任を免れないということです。厚労省は過去の苦い経験からアビガンに対しても慎重な姿勢を貫くつもりだったが、今は、新型コロナの致死率と副作用を両天秤にかけ、前者に傾いたのでしょう。  乱暴に言えば、国民を守るために、副作用は引き受ける腹づもりなのかもしれません。ただ、そもそもアビガンがほかの治療薬候補に比べて優れた効果を示しているかどうかもわからない。否定的な結果は肯定的結果に比べて公表されにくい“パブリケーション・バイアス”も手伝い、芸能人がアビガンで治ったと言えば、それが大々的に報じられ、あたかも特効薬であるかのように錯覚する人もいるかもしれないが、それは幻想にすぎないのです」  今、この瞬間も新たな治療薬の研究が進められている。我らがアビガンの承認も待たれるが、課題は山積しているようだ…… 新型コロナウイルス治療薬を巡るメガ・ファーマ戦争

ウイルス増殖の抑制効果、米国から「無償提供」

 NIHによると、今回、治療薬として初承認されたレムデシビルは、偽薬を投与した患者が回復に15日程度かかった一方で、レムデシビルを投与した患者は11日で済んだという。死亡率の明確な改善までは認められなかったというが、加藤信勝厚労相は「いつ日本に届くのか確定した情報はない。必要な量の確保に向けて努力したい」と話した。 <取材・文/週刊SPA!編集部 写真/AFP=時事> ※週刊SPA!5月12日発売号より
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週刊SPA!5/19号(5/12発売)

表紙の人/ 乃木坂46

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