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新型コロナは私たちの価値観をどう変える?歴史学者が読み解く

コロナ後に希望を持てるとすれば…

 こうした武力紛争の危機に加えて、排他的な雰囲気が広まることで国や地域のナショナリズムのさらなる高揚も予想されている。 「だからこそ、現実的で成熟した考え方が必要になってくるんです。『自粛警察』にしろ、ネットでの有名人への攻撃にしろ、日本人は誰かを攻撃することで『自分の問題』から目を反らして、それが議論だと勘違いしてしまっている。これからは問題を直視し、いかに自分ごとにできるかが重要です」  だが人々の価値観は、そんなに簡単に変えられるのだろうか。 「今のままでは難しいでしょう。希望が持てるとすれば、コロナを機にして女性の社会進出がさらに広がっていることです。各専門分野の研究においても、男女の差はなくなりつつある。女性は一般的に男性より生活への意識が高く、生き方への柔軟性も高い。かつて類を見ない女性の社会進出が、歴史上の大転換点になると思います」  世界を見ても、台湾の蔡英文総統やドイツのメルケル首相が、コロナ対策のリーダーとして成果を上げている。コロナを歴史の大きな転換点として、これから“女性の時代”が来るのかもしれない。
本郷和人氏

本郷和人氏

【本郷和人氏】 ’60年、東京都生まれ。東京大学史料編纂所教授。日本中世政治史、古文書学専攻。『大日本史料』第五編の編纂を担当。著書に『天皇はなぜ生き残ったか』(新潮社)など <取材・文/週刊SPA!編集部 写真/朝日新聞社>
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