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孫社長が南相馬市でも「やりましょう」

孫正義(ソフトバンク社長)

孫正義(ソフトバンク社長)

 3月8日、公益財団法人「東日本大震災復興支援財団」が活動報告会を開催し、会長の孫正義(ソフトバンク社長)が登壇した。同財団は、東日本大震災で被災した子どもたちの支援を目的に、孫社長個人が寄附した40億円の義援金をもとに2011年6月14日に設立され、3つの支援プロジェクトを展開。報告会では、計14.9億円の助成金の使途と活動報告、さらに孫社長は南相馬市を訪問した際に、市長からの提案をうけ「やりましょう」と約束を交わしたことを明らかにした。

 まずは、財団が取り組んできた3つのプロジェクトの概要と活動報告を紹介する。

◆『まなべる基金』――高校生向け奨学金制度

 家庭の経済的事由で、高校への進学・修学が困難となった被災3県の生徒1209名へ、月額2万円、計6.9億円を給付することが決定した。孫社長は中学生のときに父が倒れ、兄が高1で中退して家計を支えてくれたという経験から「兄貴やおふくろへの償いとしても、進学したいという学生の力になりたい」と語った。

◆『子どもサポート基金』――被災した子どもを支援する団体

「一人でも多くの子どもたちを救いたい」という想いのもと、現地で活動するNPO等の団体をサポートする基金。勉強する環境を失った学生のために無料で学習指導を行う放課後の学校『コラボ・スクール』(NPOカタリバ)、トレーラーハウスを利用した子ども図書館『ちいさいおうち』(うれし野こども図書室)など、51の団体に総額9494万円を助成した。

◆『ふみだすふくしまプロジェクト』――福島の子どもたちへの支援

 原発事故によって、不安な生活を余儀なくされている福島の親子を様々な側面から応援するプロジェクト。小さな子どもや妊婦がいる世帯が一時転居するための助成金、生活相談窓口、子どもたちの学習サポートなど、NPO団体等と協力して実施している。子どもだけ一時転居させた夫婦は「避難させたら、離れる辛さもあるけど安心感が大きい。普通に幼稚園通わせて、外で遊ばせてという生活をさせる方がいい」と語る一方で、「このままでいいのかな?」と複雑な心境を語っていた。

 報告を終えて質疑応答の時間になると、会場から孫社長に対して「雇用の創出」についての質問があった。その質問に対し、孫社長は南相馬市長との会話からあるプランが出来たことを明かした。そのプランとは「電田プロジェクト」。2011年5月に自然エネルギー協議会の設立発表会見で明かした内容で、津波で使えなくなった田畑の瓦礫を除去し、そこに大量のソーラーパネルを設置するというものだ。農地に戻すためには長い時間がかかるだけでなく、福島では原発の影響から農作物が売れにくいという事情もある。

「電気であれば安心」と桜井市長からの提案に、孫社長は「やりましょう」と即決したという。農作物の放射能汚染問題、クリーンエネルギーの獲得、さらには雇用まで生み出す“一石三鳥”のプランとして、孫社長は自信たっぷり。しかし、このプランは農地を他の用途にするため、農地法に基づく「農地転用許可制度」による税制上の問題がある。実現へのハードルは高そうだ。なお、ソフトバンクグループ関連のメガソーラー(大規模太陽光発電所)は、2011年12月から北海道で稼働開始、京都・群馬・徳島・鳥取での建設が決定しているほか、全国十数か所での建設が計画されている。

 孫社長は「原発があるので送電線は残っている。やりようによっては、原発1~2基位の発電容量をまかなえる。色々な方法で雇用をつくりたい。電波改善のための工事もやっているが、被災者の方に希望者がいれば、優先的に職の場を提供したい」と、雇用についても意欲をみせた。

 なお、財団あての寄付金は、これまでに178の企業・団体、166人の個人から、8515万円集まっており(2012年3月7日時点)、現在は、高校生を対象とした給付型奨学金「まなべる基金」への寄附を受け付けている。詳しくは、東日本大震災復興支援財団(http://minnade-ganbaro.jp/)にて。 <取材・文・撮影/林健太>




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