マイナポイント獲得に必須、役所で「マイキーID」交付端末を試してみた
7月から申込受付が始まる「マイナポイント」。これはキャッシュレス決済サービスに入金した額の25%分(上限5000円分)のポイントを、政府の負担で付与するというものだ。
マイナンバーカードの所持を前提に設計されているこのキャンペーンは、額面だけを見れば確かに大きな還元である。が、ポイント付与のプロセスに関して賛否両論があった。マイナンバーカードの他にオンラインでの「マイキーID」交付を必要とするが、PCを持っていない人はどうすればいいのか。
だが、この問題は今や解消されつつあるようだ。
去年12月6日、筆者は日刊SPA!でマイナポイントにかんする記事を配信するに至った。
この中で筆者は、マイナポイント付与に必要なマイキーIDの発行についてこう書いた。
マイナンバーカードをICカードリーダーで読み込み、そこからマイキーIDを作成しなければキャッシュレス決済サービスとの紐付けはできない。「ICカードリーダーがあるかどうか」という以前に、まず「PCがあるかどうか」という話になってしまう。
恥ずかしながら、上の文章は今読むと書き方が足りない部分もある。「PCがあるかどうか」よりも「PCを使いこなせるか否か」ということだ。スマホは最近始めたばかりで操作はまだおぼつかない、ましてやPCなど全然分からない、けれど新型コロナ騒動をきっかけにキャッシュレス決済とやらを始めてみた……という人の存在を考慮しなければならない。
このあたりの問題は、今も変わらず残っている。記事配信から半年後の現在でも情報格差は依然としてあり、格差の向こう側の人々は居住する市区町村の役所へ足を運ばなければならない。が、この半年の間に全国の役所は進化した。マイキーID交付端末が導入されたのだ。
これは終始セルフで操作できる仕様になっていて、しかもPCでの作業よりも短時間で終わる。無論、役所にとってはマンパワーの削減にもつながる。
早速試してみよう。今回は筆者の地元静岡市役所内の交付端末を使う。
まずは画面から「マイナポイント予約」を押す。次にカード読み取り部分にマイナンバーカードを乗せる。すると、このような画面が出てくる。
<マイキーIDを確認し、「発行」ボタンを押してください>
ここで「発行」を押すと、マイキーIDが記載された紙が出てくる。以上で作業終了。
「たったこれだけ?」と突っ込まれるかもしれない。だが、本当にこれだけだ。カップラーメンを作る時間よりも明らかに短い。あまりに簡単だ。
この「簡単な操作」こそが、情報格差を是正する鍵になる。
マイキーIDの発行に関する相談は、全国各自治体の役所で去年から受け付けていた。が、去年までは職員がノートPCの前に座り、マイキーIDの設定ができない市民の代わりにキーボードを叩くというものだった。無論、これでは効率が悪い。できれば利用者自身にマイキーIDの設定をしてほしい、という思惑があって当然である。
上に挙げた交付端末は、まさしく情報格差の懸け橋になり得るものだ。故に、筆者は総務省に対してひとつ不満がある。この交付端末のことを、なぜもっとPRしないのか。
新型コロナウイルスは、日本各都市の「スマート化」を推し進めた側面もある。歴史上のあらゆる出来事には、いいことと悪いことが両面貼り合わせで発生する。新型コロナがなければ、首都圏から外れた地方都市にまでオンライン出前サービスが注目されることはなかっただろし、自治体主導のポイント還元キャンペーンも実施されなかったはずだ。
この現象は言い換えれば、去年まで「スマホなんていらない」と言っていた人々をキャッシュレス時代に迎え入れる最大にして唯一の機会である。ここは「誰でも簡単にマイキーIDを設定できる」ということを大々的にPRしたいところだ。<取材・文/澤田真一>ノンフィクション作家、Webライター。1984年10月11日生。東南アジア経済情報、最新テクノロジー、ガジェット関連記事を各メディアで執筆。ブログ『たまには澤田もエンターテイナー』
専用端末が登場
情報格差の懸け橋として
総務省は周知活動に力を入れるべき
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