マンション需要「賃貸・低層・内陸」に変動?
◆ポスト震災[首都圏不動産選び]の新常識(8)
マンションの需要についても顕著な変動が起きているという。
「震災の際に、高層マンションでエレベーターが長時間停止したり、免震構造のため、まるでゴンドラのように横揺れしたことが懸念され、30階以上の住人が10階以下へ引っ越すなど、低層階の物件へと需要がシフトしています。湾岸エリアの高層物件では、今や1割引きは当たり前の状況です」
このように高層マンションの購買意欲が全体として落ちている影響で、当然ながら賃貸市場は活況だ。「40平米程度の賃貸住宅に妻子と住んでいる若いサラリーマンは30代前半で物件購入を考えるのですが、今は50平米程度の賃貸住宅へ“ランクアップ”という行動に出ています。現にファミリー向けの賃貸では、申し込みが急増しています」
ただ、マンションにおける「持ち家→賃貸」「高層→低層」「湾岸→内陸」の流れは、あくまで一時的現象だと松沢氏は予測する。
「マンションを好むお客さんは、戸建てのお客さんと違い、ファッション的な要素を重視します。湾岸エリアという『ブランド』はやはり魅力的ですし、日本人の持ち家志向は絶対です。今は自重しても数年後には必ず購入を考えます。液状化以外は高層階のゴンドラ現象も停電も、時間がたてば記憶から薄らいでいくでしょう」
一方、震災後の原発事故による外国人の帰国に伴う退去で相場が下落したり、電力不足を見越して多くの事業者が東京電力管内から名古屋や福岡に工場を移す動きも起きており、それに伴う従業員の転入が増加。皮肉にも地方の不動産市況を活性化させているという現象も起きている。
今回の震災は日本の形を変えていく恐れは多分にある。
【アトラクタ−ズ・ラボ】
不動産市場分析を得意とするマーケティング会社。
HPでも震災後の市場データを多数公開している
取材・文・撮影/野中ツトム(清談社) 高木瑞穂 遠藤るりこ(ビッグアップルインターナショナル) 遠藤修哉・八木康晴(本誌)
持ち家→賃貸、高層→低層、湾岸→内陸は一時的現象?
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