ライフ

編集からもらったカネで打つ爆速パチンコ台「大工の源さん」

都合のいいタイミングで勝てるギャンブル

 都合のいいタイミングで都合のいいように勝てるなら、今頃僕はこんなに借金をしていないだろう。パチンコに吸い込まれた1万円は3,000円、5,000円と順調に減っていった。  僕が残り1,500円というところで、肩を叩かれた。 「(当たりましたよ!)」  パチンコ屋の喧騒の中、嬉しい報告を受けた。気付いたら彼は僕のすぐ近くの台に座っていた。  ああよかった、ただ1万円を失うだけになっていたら気まずいと思っていたところだ。親指を立て、「Good Luck!」の笑顔で応じる。久しぶりにパチンコを打つという人を連れてきて、僕の好きな台で当たる。素直に嬉しかった。  もらった1万円の方は、何事もなく消えた。まあこれでトントンだろう。僕は好きな台をタダで打てたし、彼もきっと1万円くらいは勝つ。タバコを吸って待とう。  後ろを見ると、彼の台がけたたましく光っているのが見えた。もしかしたら、今日は本当はツイてる日で、あと少しだけ打ったら僕の方も当たるのかもしれない。二人で大勝ちして飲み直しても良いだろう。財布をこっそりと出し、虎の子の金を入れる。奢ってもらって帰るだけなら良かったものを、これで僕は彼の当たりが終わるまでやめられない心持ちになってしまった。  結局18,000発も出て6万円近く勝った彼の後ろで、僕は12,000円も追加入金してしまった。さぞや楽しかったことだろう。 「追加入金してましたよね?大丈夫でした?」  心配をされたが、一緒に行った人が勝って喜べないほど僕の心は狭くない。源さんのヤバさを体感してもらえて嬉しかった。その勝ちは、他人に施しをした清い心が呼んだ勝ちだ。無欲の勝利だ。  帰りの電車で一人になり、1日を振り返る。こんなダメ人間の僕を見放さずに相談に乗ってくれて、さらには1万円でパチンコまで打たせてもらった。  彼は5万円近く勝った。僕は12,000円負けた。  日本酒で少し酔った脳裏にモヤがかかる。  僕は、12,000円も負けたのに「ごちそうさま」と言った……?  家に帰るとすっかり落ち込んでしまっていた。 「これからもよろしくお願いしますね!」  爽やかな笑顔を思い出す。  寂しくなった財布を部屋の隅に投げつける。奢ってもらう予定だったから、1万円以上負けるつもりなんてなかった。 「うわ、やる気でねー」  そして先週、僕はそのまま原稿を出さずに初めて休載した。
LINE

「追加で1000円ずつ乱雑に入れる犬さんの背中は勇ましかったです」(編集担当)

―[負け犬の遠吠え]―
フィリピンのカジノで1万円が700万円になった経験からカジノにドはまり。その後仕事を辞めて、全財産をかけてカジノに乗り込んだが、そこで大負け。全財産を失い借金まみれに。その後は職を転々としつつ、総額500万円にもなる借金を返す日々。Twitter、noteでカジノですべてを失った経験や、日々のギャンブル遊びについて情報を発信している。 Twitter→@slave_of_girls note→ギャンブル依存症 Youtube→賭博狂の詩
1
2
3
Cxenseレコメンドウィジェット
おすすめ記事