更新日:2020年08月02日 18:12
エンタメ

“在日コリアン”をネタにするお笑いコンビ「ピリピリするテーマも漫才なら…」

「自分にしかないキャラを作れ」に感銘

ちす

「アルバイト先の焼肉店で副店長に昇格しました」と語るちす

「自分にしかないキャラを作れ」  スクール講師から常々言われたことだ。アドバイスが転機となり、語学を生かした漫才を始めた。「韓国語で森のくまさんを歌ってみた」「もしも韓国人と合コンしたら」など披露し、手応えを感じた。「韓国人」と自己紹介すると、若い女性客を中心にファンも増えた。  2人は「K-POPなど韓流ブームの流れに乗った感じでしたね」と振り返る。その一方、受け入れられやすい明るい話題だけを漫才にすることに違和感があった。 「『韓国人』と紹介していましたが、僕ら今まで韓国に行ったことないんです。学校で教わったから韓国語を話せるだけで、普段は日本語を話して生活しています。日本で『在日韓国人』として暮らしてきたありのままを漫才にすることこそが、自分にしかないキャラになるのかなと思い直したんです」(ちす)  19年から現在のスタイルに変えた後、「在日韓国人」と自己紹介するようになった。 「若い人が多く漫才に来てくれたかんじだったけど、在日をテーマの漫才にしたら客層も変わり、年齢層も高めなかんじです。『ちょっと構えて見ちゃうなぁー』と言われたり、自分らの親世代からは『やめた方がいい』『テレビに出れるの?』と心配されたりすることもあります。前例がないことをやっている以上何が正解か、不正解なのか全く分かりませんけど、自分たちで切り開きたいです」(ゆぎょん)

「アンチ(ファン)も歓迎。知ってもらうことが大事」

舞台裏 冷え込む日韓関係を改善する上で、自分たちの漫才が橋渡しになることを願っている。韓国でも漫才を披露したいと意欲的だ。  好きな漫画の「BECK」に登場するバンド名(モンゴリアンチョップスクワッド)が、コンビ名の由来だ。主人公たちのように苦難や挫折を乗り越え、いつか人々の胸を打つ漫才ができることを信じている。 「アンチ(ファン)も歓迎です。知ってもらうことが大事だから」  貪欲に芸を磨く日々は、これからも続く。<取材・文・撮影/カイロ連>
新聞記者兼ライター。スター・ウォーズのキャラクターと、冬の必需品「ホッカイロ」をこよなく愛すことから命名。「今」話題になっていることを自分なりに深掘りします。裁判、LGBTや在日コリアンといったマイノリティ、貧困問題などに関心あります。Twitter:@hokkairo_ren
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