ニュース

コロナ不況で苦境にあえぐ各業界の深刻さ。航空、飲食、アパレル…

生き残れない仕事

5月の段階で日本航空、全日空の国際線は前年比約9割減。国内線も7割減で、両社ともに第1四半期決算は大幅な赤字決算となった

航空業界が経営危機。求められる変革とは?

 そして、もっとも大打撃を受けているのは航空業界だという。 「業種別の日経平均騰落率を比較してもわかりますが、航空業界は昨年比で大幅に株価を下げています。国際航空運送協会の発表では、’20年の世界の航空会社の最終損益が9兆円以上の赤字になる見通しで、日本も9割の航空便が運休に。諸外国ではすでにブラジル航空、タイ航空、メキシコ航空などが破綻しています」
生き残れない仕事

日本経済新聞「経済チャートで見る 新型コロナショック」参照(7月末時点)。前年末比の業種別株価騰落率。悲惨さが浮き彫りに

 JRもお盆期間の指定席予約が昨年比8割減と、過去最少を記録。公共交通機関は最悪の場合、国による救済もありうるが、そのあり方には変革が求められている。 「これまで航空会社はホスピタリティを売りにしてきました。その点で、飲食業や宿泊業と同じ。しかし、人との接触がリスクになるコロナ禍では、単純な移動手段にすぎません。客室乗務員などはその存在意義が見直されていく可能性もある。航空業界はどのように新業態に変えていくかが課題です」  東京商工リサーチの原田三寛氏も、経済状況の厳しさを語る。 「今はBtoCと言われる個人消費者向けの商売への影響が大きいが、その裏側にも連鎖しつつある。先日、クリーニング大手の白洋舎が41億円の赤字見通しを発表しましたが、これはホテルから受注していたリネンサプライの激減が大きい。サプライチェーン(供給連鎖)は複雑で、直接的な影響がなかった業種も今後は不明です」
原田三寛

原田三寛氏

 本格的なコロナ不況の到来は、秋以降とみられている。 「一般企業もリストラやボーナスの減額が考えられるので、可処分所得が減ります。車などの高額な耐久消費財は売れ行きが鈍り、孫請け、ひ孫請けといった中小・零細企業はかなり厳しい。秋口以降はBtoB(企業間取引)の製造業にも、その影響は見られるようになるでしょう」  あらゆる業界で、抜本的な構造改革が必要となりそうだ。 【磯山友幸氏】 経済ジャーナリスト。著書に『2022年、「働き方」はこうなる』(PHP研究所)、共著に『観光ビジネス大崩壊 インバウンド神話の終わり』(宝島社)。 【原田三寛氏】 東京商工リサーチ情報本部情報部部長。倒産集計、経済コラムなども掲載された日本最古の信用情報誌『TSR情報』編集長。企業の倒産情報などを分析する。 <取材・文/週刊SPA!編集部 写真/産経新聞社> ※週刊SPA!8月18日発売号の特集「生き残れない仕事」より
1
2
週刊SPA!8/25号(8/18発売)

表紙の人/ 奈緒

電子雑誌版も発売中!
詳細・購入はこちらから
※バックナンバーもいつでも買って、すぐ読める!
おすすめ記事