仕事

コロナ禍によって消えゆく職業。かつての花形部門にも危険信号

生き残れない仕事

静岡銀行が融資審査にAIを活用したり、三菱UFJ銀行でAIが3億ページの書類をデータ化したりするなど、銀行でAI活用が進む動きも

営業、事務に危険信号。迫り来る業務消失の波

 オフィスでは、かつては花形と言われた営業職に危険信号が。 「非接触が求められる今、対面営業は敬遠される。それを受けてか三菱UFJフィナンシャル・グループも営業人材1000人を富裕層向けビジネスに移管すると発表。家庭や企業への訪問営業は、今後は消え去るのでは」(溝上氏)  また、コロナ後、自動化が進むのが、金融保険業の事務員だ。 「三菱総合研究所は、’18年から’30年までの間に、AIを含むロボット技術の進化による影響と、ネットを通じたグローバル競争の加速化で、日本のルーティン業務の従事者が約430万人減少するという試算を発表しました。なかでも大幅な変化があるのが事務員で、’20年代から120万人過剰になると予想。これが、コロナ禍によって拍車がかかっていくことは間違いない。中でも、法規制などの関係で、特にルーティン度が高いのが金融保険業です。実際に、大手各社を中心に、生命保険、損保、証券、銀行などの業務の自動化が着々と進んでいます」(同)  同じく事務作業ゆえ、今後不要とされるのがサポート業務だ。 「補佐的な仕事はルーティンが多いので、デジタルツールに置き換えやすい。弁護士の補佐をするパラリーガルや病院の医療補助、営業補佐や秘書などは、すでに多数のツールが存在しており、置き換えは時間の問題です」(加谷氏)  そして、リモートワーク期間に話題になった印鑑不要論。これによってなくなるのが、経理だ。 「印鑑がなくなれば、印鑑業界も打撃を受けますが、同時に激減するのが経理などのバックオフィス業務。ハンコ業務がなくなれば、途端に業務は効率化されるはず。最近は経理ソフトを使用する企業も増え、人員整理は進むと思われます。あとは公務員。今回のコロナにおける給付金配布の対応の悪さからもわかりますが、日本の役所は国際的に見てもデジタル化の水準が低いことが露呈しました。デジタル化が進めば、公務員の数は減るでしょうね」(同)  また、景気悪化でコストカットが進み、存在感を問われる業種も。 「業績不振で企業や個人の間でコストカットの意識が働き、さまざまな業界で仲介を通さないケースが増えるはず。その最たる例が、旅行仲介業。ネットで個人が直接予約できる時代、わざわざ手数料を払う人は少数派です。その存在意義が問われるでしょう」(同)  自分の仕事がなくなる。そのリスクは決して他人事ではないのだ。
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コロナでなくなる職種ランキング
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