『半沢直樹』はテーマ設定に不安要素。業界人が2020年夏ドラマをガチ査定
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、放送延期となった4月クールの春ドラマと7月クールの夏ドラマが入り混じる形で同時期にオンエア。これによって、続編シリーズの『半沢直樹』(TBS系、日曜午後9時~)や『ハケンの品格』(日本テレビ系、水曜午後10時~)、新ドラマの『私たちはどうかしている』(日本テレビ系、水曜午後10時~)や『私の家政夫ナギサさん』(TBS系、火曜午後10時~)といった話題作がズラリと並んだ今夏のドラマシーン。
しかし、ここまで放送を重ねてきて内容や視聴率が明らかになってきたことで、業界人たちの評判も大きく下馬評と変わってきているようだ。
それでは、ここまでの夏ドラマをテレビ業界関係者たちはどのように見ているのか? さらにこれからでもぜひ見たほうがよい作品は何なのか? さらに大ヒット中の『半沢直樹』はどこまで視聴率を伸ばすのか? 彼らに直撃して、本音を聞いてみた。
まずはキー局で多くのドラマなどを手掛けてきた30代プロデューサーのA氏に話を聞いた。
「話題をさらっているドラマ『半沢直樹』(TBS系)ですが、第6話が24.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と前回から微減。しかし、これは局としては上出来だったと思います。というのも、同時刻に日本テレビが『24時間テレビ』から続く流れで『行列のできる法律相談所』を放送。くしくも7年前と同じ構図になりましたが、ほぼ視聴率を落とさなかった。これは盛り上がりを見せている証拠です。
主演・半沢直樹役の堺雅人さんの演技はもちろん、香川照之さん演じる大和田や市川猿之助さん演じる伊佐山の“顔芸”とも評される迫真の演技がここまでの視聴率を引っ張っている印象ですね。個人的には、筒井道隆さん演じる乃原には狂気すら感じました!
今後は女性キャストの“クセの強さ”がカギを握るのでは……と思っております。すでに存在感を発揮している江口のりこさんや西田尚美さん、南野陽子さんらが“クセの強い”演技を炸裂させればもっとSNSを中心に盛り上がりをみせて、視聴率を取れそうな気はしますね」
また、A氏に今クールの“面白いドラマ”と期待を裏切った“残念なドラマ”を聞いた。
「『MIU404』(TBS系、金曜午後10時~)は見応えがありますね。機動捜査隊を舞台にしたバディものということで、ベタな展開になってしまうのでは……という危惧が2、3話くらいで吹っ飛びました。脚本を担当する野木亜紀子さんが描く登場人物の心情描写と構成がとにかく抜群。殺人事件などの重いテーマが多い作品ですが、どのキャラクターも繊細で、世の中が一筋縄ではいかないところを説教くさくならないように伝えてくれている。これまでの野木さんの作品の中で一番かなと思いました。強いて言えば、どうしても“機動捜査隊”をテーマにしないとといけなかったのかなということくらい(笑)。
『半沢直樹』視聴率40%超えのカギは
繊細な人物描写が巧みな『MIU404』
期待していたのに残念だったのは、『ハケンの品格』(日本テレビ系)ですね。篠原涼子さん演じる大前春子の破天荒な活躍ぶりは変わらずで「カッコイイ」「爽快」という印象を受けましたが、前作とトーンがほぼ変わらなかった印象。医療や警察モノと違って、労働や社会問題を描くドラマだけに、もう少し現代の社会人たちの生きづらさに斬りこんでもらいたかった」最終回のご視聴ありがとうございました😊
— 【公式】ハケンの品格 (@haken_ntv) August 5, 2020
「働くことは生きることです」
大前春子#ハケンの品格 pic.twitter.com/O7lOY0nMBD
テレビドラマとお笑い、野球をこよなく愛するアラサーライター。
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